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作品ID:1338
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第三章「街道」:第7話「ドライセンブルク」

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第3章.第7話「ドライセンブルク」



 ドライセンブルクは街の北側をレーン河、南側をエーベ河に挟まれ、二つの河が合流する地点に作られているため、上空から見ると三角形に見える。

 北と南は2つの大きな河が天然の堀になっているため、高さ三十mの城壁と合わせて百m近い絶壁となっている。

 唯一の陸地側である東側は、城壁の高さが三十m以上あり、更に深い空堀で防備を固めている。

 城壁に使われている石は黒く、城門に近づくと押し潰されるような威圧感があり、都というより要塞という感じが強い。



 城門は東にある正門一箇所だけしかなく、正門の前に午後三時頃に到着したが、王都への入城希望者が多く、大行列に並ぶことになる。



 さすが国王が住む王都なことだけのことはあり、検問の検査はかなり厳しい。

 身分証明書の提示と入城目的の聞き取り、持ち込み物品の確認と一人当たり十分以上掛かっている。平行して十人くらい検査しているが、行列は遅々として進まない。



 二時間ほどでようやく俺の番が回ってきた。

 身分証明はギルドカードの提示で問題はなく、入城目的も武器の購入でこれも問題はなかった。

 持ち込み品の検査で携帯電話が見つかったが、魔道具の一種で「暗闇で光を発し目を眩ませる道具」と説明し、カメラのフラッシュを使って見せたら、納得してくれた。



 Dランクの冒険者が王都に来ること自体は珍しくなく、変わった道具の持ち込みも時々あるそうで、所要時間十分、入市税二Sでドライセンブルクに入ることが出来た。



 午後五時を過ぎているので、今日の宿を探すため、とりあえず冒険者ギルドに向かうことにした。

 ドライセンブルクの冒険者ギルドは、ドライセン王国の冒険者ギルド総本部であるため、かなり大きな建物だ。



 役所か騎士団詰所のような石造り四階建ての立派な建物で、この世界ではあまり使われていないガラスが使われている。ガラスといってもステンドグラスのような厚めのガラスで天井付近の明り取り用に嵌め込まれている感じだ。



 中に入ると二階まで吹き抜けの大きなホールがあり、正面には銀行の融資窓口のようなゆったりとした椅子が置かれたカウンターが数席並んでいる。カウンターを両サイドから回り込むように二階に向かう階段があり、二階にも受付がある。

 歴史のある洋館、または、迎賓館のような歴史的建造物をそのまま使っている役所のようだというのが第一印象だ。



 カウンターには受付の女性が数人座っているが、冒険者はそれほど多くない。

 空いている受付に行き、宿について聞いてみることにした。



「ちょっと教えてほしいんだが。いいかな」



「はい、まずはお掛けになって下さい」



 二十代半ばの上品な面立ちの受付嬢が、笑顔とともに革張りの高級そうな椅子を勧めてくれる。

 ギルドカードの提示を求められたので、カードを提示する。



「では、タイガ様。どういったご用件でしょうか?」



「ドライセンブルクは初めてなんで、お薦めの宿を知りたいんだが……」



 俺が宿について尋ねると一瞬意外そうな顔をしたため、最後の方は口ごもってしまう。



(やっちまったかな。なんか場違いだよな。周りもなんとなく見ているし、やっぱり本部は、普通の支部とは違うのかな?)



「ご予算とご要望があれば承りますが、どのような宿泊先がご希望でしょうか?」



「安全で食事がうまければ、それで。予算はいくらでも大丈夫」



 受付嬢は笑顔を絶やさず、「安全面につきましてはドライセンブルク自体が安全な街ですので、特に問題はないかと思います。食事のご要望につきましては、料理、食材等のご指定がなければ、”三本の剣”という宿がお薦めかと存じます」



「ありがとう。助かったよ」と言ってそそくさと席を立つ。



 例えが難しいが、メガバンクの本店の融資窓口で駅の近くのATMの場所を聞くみたいな、そんな違和感なのかもしれない。総本部だけにもっと偉い人たちが来るのだろう。どうも居心地が良くないので、すぐに宿に向かうことにした。



 宿はギルド本部から二、三分ほどの距離にある「三本の剣」だ。

 武器屋と間違うような剣を3本交差させた図柄の看板で、こちらも石造り四階建ての立派な建物。

 ベルボーイが玄関で待ち受け、宿泊したいというと、馬から勝手に荷物を降ろし、馬をどこかに連れていく。

 フロントでチェックインの手続きをすると、ギルドの二割引が効いても一泊二食で十二S、馬は六S四十Cとかなりの値段だ。

 馬については世話も込みなので遅いチェックインにはちょうど良かった。



 ベルボーイに連れて行かれ、部屋に入るとさすがに高級ホテル、部屋も広く、ベッドも大きい。

 さすがにトイレやバスはないが、洗面台はある。

 浴室は各フロアにあり、フロントに言えばすぐに用意してくれるそうで、サービスはいい。



(こういう高級ホテルになんか泊まったことがないから、どうしたらいいんだろう。ベルボーイにチップが必要なんだろうか? いくらなんだろう。どこかに”ドライセン王国の歩き方”って本は落ちていないかな)



 相場も何も判らないので、とりあえず銀貨1枚をベルボーイに渡し、ようやく落ち着くことができた。



 午後七時頃、食堂に行くと入り口でドアマンがドアを開け、ウェイターがクロスをかけたきれいなテーブルに案内してくれる。

 周りを見ると食事をしている人たちは貴族か、かなり高ランクの冒険者のようで、安い麻の服を着ているような人はいない。

 ここで一番貧乏そうな格好をしている自分が周りの注目を浴びているようで、自然とうつむき加減になってしまう。



(ファミレスに行くつもりで、ジャージ姿で店に入ったら、高級フレンチのレストランに入ってしまったような圧倒的なアウェー感だ。多分ドレスコードで入れないだろうし、そんな奴はいないんだろうけど、違和感としては、これが一番近いな)



 食事は、牛のステーキ風の肉料理と川魚のポワレ、フレッシュ野菜サラダに海老でだしをとったスープにパン、これがコース料理として出てくる。酒も飲み放題で、味は悪くないのだが、オステンシュタットの「旅人の止まり木」亭の方がうまい気がする。

 居酒屋チェーン店が似合う俺には、この雰囲気の影響が大きいのかもしれないが。



 料理が出てくる間を利用して、回りの人たちを鑑定してみると、やはり高レベルの人が多い。

 冒険者か騎士かわからないが、最高レベルは五十二。明らかに商人のような人は除き、一番低い人でもレベル二十八。俺のレベルが圧倒的に低い。



 急いで食事をとり、早々に退散したいが、コース料理なので一時間半くらい掛った。



(なんか食べた気がしないな。ギルドでもう少し希望を言えばよかったな。ゴスラーでもオステンシュタットでも外れなかったから、ここでも大丈夫だと思ったんだけどな……)



 一夜明け、夕食ほどではないが、やや緊張しながら朝食を取り、食後のお茶を飲みながら、今日の予定を考えている。

 午前中に王都見物をし、できればディルクさんの言っていたデュオニュースの工房も見てみようと思っている。

 その後、ノイレンシュタットに向かっても時間的には十分大丈夫なはずだ。



 宿に馬と荷物を預け、ドライセンブルクの街に繰り出す。



 ドライセンブルクは、一番西に王宮があり、王宮前に広場に繋がる道路が東門から続いている。

 騎士団の本部と思しき立派な建物は、王宮前の広場を挟むように両側に建てられ、王宮と合わせて”コ”の字型に配置されている。

 いざというときに、王宮と合わせて城の役目を果たす造りになっているのだろう。



 街の建物はすべて石造りで、玄武岩のような黒っぽい石で統一されており、重々しい感じがするが、ここまで戦闘に特化しているとある種の機能美を感じてしまう。



 そのまま、街の中を散策していると有名な鍛冶師街に到着した。





後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/17 21:58
更新日:2012/12/17 21:58
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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作品ID:1338
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