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作品ID:1366
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ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第四章「シュバルツェンベルク」:第4話「迷宮探索11階?15階」

前の話 目次 次の話

第4章.第4話「迷宮探索11階?15階」



 初の迷宮探索の翌日はミルコの指導の下で訓練となる。折角、弁当と水筒を用意してきたのに結局無駄になった。



 訓練終了後にミルコから、



「明日は迷宮だ。ノルマは二十階。お前でも十二時間以上掛かるだろうから、食いもんと水は持って行け」



 あまり戦闘をせず突破だけを考えようと思っていたら、俺の考えを察した彼は、



「レベルアップが目的だからできるだけ数を倒して行けよ」



と先手を打たれてしまった。



 俺は「さらっと十二時間以上掛かるって言うな!」と心の中で彼を罵倒するが、文句を言っても仕方が無いので、十一階から二十階までの魔物の情報を手に入れるため、ギルド支部に行くことにした。



 十一階からは、ホーンラビット、ワイルドドッグ、ジャイアントバットの組合せになる。

 十一階はいずれか一匹だけだから、あまり問題は無い。

 いずれも動きが早いので、複数出てくる十二階以上は、注意が必要だ。

 特にジャイアントバットは一度も戦ったことが無いし、複数で立体的に襲い掛かってこられるとかなり梃子摺るかもしれない。



 十六階はコボルトウォーリアで、十七階以上はコボルトウォーリアに加え、アーチャー、シャーマンが入ってくるため、遠距離攻撃の対応が必要だ。十七階以上は魔法の使用も考えておく必要がありそうだ。





 翌朝七時に弁当と水筒を持って迷宮に入る。



 十階の転送室まで転送してもらってから、十一階に下りていく。

 十一階も通路の大きさは十階までと同じだが、壁、天井が天然の洞窟のようなゴツゴツした岩でできている。

 幸い床は石畳ではないものの平らな土の地面で移動に支障は無い。



 十一階の通路を歩き始めて数分後、ワイルドドッグ=野犬が一匹近づいてきた。

 ゴスラー周辺で多く戦っている相手なので、余裕を持って対応できる。



  ワイルドドッグ:

   通常の飼い犬・猟犬とは異なる犬科の獣

    HP200,DR10,防御力15,獲得経験値15、牙(AR40,SR30)



 森や草原にいた野犬よりかなり好戦的で「グワゥ!」と叫びながら、力量差を無視して襲い掛かってきた。



 のど元を狙ってきたワイルドドッグをサイドステップでよけ、そのまま上段から斬りおとす。



 ギャンと一鳴きし、あっけなく、光となって消えていく。



(スピードがあるだけで、ゴブリンとほぼ同じHPしかないから楽勝だ)



 更に十一階を進んでいく。

 十分ほどして、現れたのが、ジャイアントバットだ。



 大きさは大型の猛禽類くらいで、翼を広げると一・五m近い大きさがあるコウモリだ。



  ジャイアントバット:

   大型のコウモリ。回避能力が高い。

    HP200,DR40,防御力5,獲得経験値15、牙(AR30,SR40)



 動きが早く、回避能力が高いが、四・五m×四・五mの狭い通路ではかなり窮屈そうだ。



 一匹だけであれば、相手の攻撃に合わせ、カウンター気味に攻撃を入れれば一撃で片付けられる。



 更に三十分ほどで十一階を歩き回り、ホーンラビット、ワイルドドッグ、ジャイアントバットをそれぞれ一匹ずつ倒したところで、十二階への階段を見つけた。



 十二階に降り、ワイルドドッグとホーンラビットのペアと遭遇。

 森や草原ではありえない光景だ。

 直線的な攻撃のホーンラビットとやや変則的な動きをするワイルドドッグが時間差をつけて攻撃を掛けてくる。

 時間差をつけてこようが、動き自体は見切れているので全く問題なく、二匹とも一太刀ずつで片付ける。



 その後は複数匹による攻撃はかなり鬱陶しかったが、背後さえ取られなければ、体捌きで充分に対応できるため、特に問題にならなかった。



 時々休憩を交えながら、四時間ほど掛けて十五階に到達。

 十五階まで進んだが、大きな傷は無く、腕や足にかすり傷を負ったくらいで済んでいる。この階でも問題なく進んでいき、三十分ほどでボス部屋に到着。ボス部屋の前の扉を押し開け、中に入っていった。

 中には銀色の狼が一頭、頭を下げ唸り声を上げながら、俺を待ち受けていた。



 シルバーウルフ:

  銀色の毛の大型の狼。灰色狼に比べ体力、攻撃力が大きい

   HP600,DR25,防御力30,獲得経験値150

   牙(AR90,SR35)、爪(AR60,SR35)



 さすがに大型の狼だ。攻撃力が今までの魔物に比べかなり大きい。

 俺の防具では防ぎきれないので、大きなダメージを食らう可能性がある。



 部屋の大きさも三十m四方くらいあり、スピードを生かしたヒットアンドアウェーで攻撃を掛けられると厄介そうだ。



 シルバーウルフは、俺のほうを見ると「グルルゥ、ガゥ!」と低く唸ってから、真直ぐ攻撃を掛けてきた。



 俺も剣を構え、狼の噛み付き攻撃を剣で捌くつもりで動きを止め、剣を前に突き出す。



 最後にジャンプして俺の喉元に攻撃を掛けてくると思ったが、狼もこれを想定していたのか、直前で俺の左横に跳び、更に俺の膝に向けて攻撃を掛けてくる。



 急にジグザグに動かれ、一瞬、見失いかけたが、狼が俺の左膝に攻撃を掛けてくるのに合わせて、突きを放つ。



 俺の突きは狼の鼻面に命中し、「ギャン!」という悲鳴を上げるが、狼の勢いは衰えず、俺の左膝に体ごとぶつかってくる。



 狼の体重が左膝に掛かったため、俺はバランスを崩し、転倒してしまう。更に、そのショックで剣を手放してしまった。

 狼も鼻を大きく傷つけられたため、一旦距離を取ったが、俺が倒れているのを見て、すぐに攻撃態勢を整え、俺に向かってくる。

 俺の方は、体当たりによるダメージ自体、大したことはなかったが、剣を手放してしまい、狼の攻撃を防ぐ手段を失っている。



 狼は牙をむき、「グルルゥ」と唸りながら、俺の喉を食い千切ろうと襲い掛かってきた。

 俺は以前の狼戦と同じようにバーナー型ファイアで狼に攻撃を掛けるが、狼はバーナーの炎に構わず、突き出した俺の右腕に噛み付いてくる。



 革製のガントレットで何とか狼の牙を防いでいるが、強力な顎の力と鋭い牙により、ギシギシという音を立て、すぐにも防具を貫通しそうだ。



 俺は右腕を噛み付かれたまま、左手でスローイングナイフを抜き、狼の右目にナイフを突き刺した。



「ゴワァン!グゥゥ!」と悲鳴に近い鳴き声がするが、それでも狼は噛み付いたまま、腕を食い千切ろうとしている。

 痛覚はあるようだが、生存本能の方が制限されているのか狼の攻撃は緩まない。

 細いスローイングナイフの攻撃では埒が明かないので、噛み付かれ不自由な右手で何とか狼の首元にファイアボールを撃ち込んだ。



 至近距離からのファイアボールの攻撃により、狼は横に吹き飛び、ようやく俺の腕は自由になった。



 俺はすぐに立ち上がり、剣を拾い上げようとするが、狼の方が早く体勢を整え、再度攻撃を掛けてくる。

 剣を拾いに行く余裕がないため、止むを得ず魔法かナイフで戦うことを選択する。



 接近戦で使える魔法はファイアくらいしかないが、炎への恐怖感が無いこの狼に対しては牽制の効果がない。仕方がないので、左腕に噛み付かせた上で、潰れていない左目をナイフで潰しに行く。



 ナイフを構え、狼が噛み付いてくるのを待ち構える。

 狼もこちらがナイフしか持っていないことを見て、接近戦で決着を付けるつもりのようだ。

 狼は喉を狙わず、最初と同じように足元を狙ってくる。



(こっちのリーチを見て、攻撃が届かない足を狙ってきやがった)



 狼の狡猾な攻撃に対処すべく、狼の攻撃が届く直前で体を捻り、狼の攻撃を回避する。

 狼が通り過ぎるのを確認し、剣に向かってダイブし、剣を掴む。



 狼は数メートル進んだ後、向きを変え、再度俺の方に向かってくるが、俺は剣を掴んだ状態で倒れており、立ち上がることができない。



(いけるか?)



 狼は俺が無防備な体勢であることを見て、「ガアゥ!」と吠えると、俺の首目掛けて飛び掛ってきた。



(このタイミングを待っていたんだよ!)



 俺は狼が飛び上がったのを見て、剣を突き出す。

 狼は空中で方向を変えることができず、俺の剣に向かって真っ直ぐ突っ込んでくる。

 狼の目に絶望の光が見えた直後、俺の持つ剣が狼の腹に深々と突き刺さった。

 狼に乗りかかられる体勢だが、腹に致命的なダメージを食らっては、さすがの狼も俺の横に転がりもがき始めた。



 俺は肩で息をしながら立ち上がり、狼に止めを刺すべく五mくらい先の狼に近づいていく。

 腹を切り裂かれ、半ば内臓がはみ出ているが、それでも狼はまだ闘志は消えず、再び俺に襲いかかろうと立ち上がろうとしていた。

 こちらも油断せず慎重に間合いを詰め、ミルコとの訓練で叩き込まれた鋭い踏み込みで瞬時に数メートル先の狼の首に斬撃を叩き込んだ。



 深いダメージを負った狼はこの動きに追従できず、遂に俺は狼の首を切り落とすことに成功した。



 俺はふぅーと息を吐きながら「せめてボス戦だけは最初から魔法を使うべきか」と今回の戦闘を振り返る。



 部屋の中には、例のごとく宝箱があったので開けてみると、錆びたダガーが1本入っていた。

 俺は穴の開いた右手のガントレットを見ながら、



(修理代がいくらになるか判らないのに安そうなダガーが一本とちょっとだけ大きい魔石が一個かよ。割に合わないねぇ)



 資金に余裕があるから、こんなことを考えることができるが、ゴスラーにいた頃なら、一セット七Gもした防具を壊されて、こんな少ない見返りならチャレンジした自分を責めていただろう。



後書き


作者:狩坂 東風
投稿日:2012/12/24 15:18
更新日:2012/12/24 15:18
『ドライセン王国シリーズ:滔々と流れる大河のように(冒険者編)』の著作権は、すべて作者 狩坂 東風様に属します。

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