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作品ID:2225
「サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー」へ

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遠藤 敬之 


サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー

小説の属性:一般小説 / ミステリー / お気軽感想希望 / 初投稿・初心者 / R-18 / 完結

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(第5話)ミネ子ちゃんとの楽しいデートが終わる…でも、ミネ子ちゃん、なんで涙をこぼしたの?

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はぁ…今日からまた一週間始まるのかあ。
大きな欠伸をし背中をおもいっきし伸ばした。
「いてて!」
顔が歪む。
イケネ。腰が電気のようにビリリと痛みが走ってきた。
僕は手を後ろに回し撫でさする。
でも、この痛みはすごく嬉しくて幸せがいっぱいだ。
思い出すだけでもデヘヘとなる。
何故嬉しいのかは後々に読者にも分かることだろう。


僕の努めている会社はビジネス街の道路に面した5階建ての細長いビルだ。真っ白に塗られた壁も今は灰色に変わり看板も色あせている。
家電製品やパソコン、スマホのアプリを開発している。
僕が今いるところは、3階にあるシステム部という部署で、システムエンジニアとプログラマーの3人ずつで配属されている。
今我々のチームが手掛けているのは炊飯器のシステム開発だ。


僕の隣のデスクにいる男が、アーッ、と溜息交じりの大きな声をあげた。
「さあて、と。メールチェックも終わったことだし、設計図の続きをつくっていくか」
コイツは僕と同じシステムエンジニアに配属されてる伊藤っていうヤツだ。黒いカッターシャツをはだけた胸から金色のネックレスがチラチラみえる。見た感じ、体格が良く垢抜けた風貌。
この会社は基本服装は自由だが、僕は客のところに出向くときもあるしネクタイを締めている方が落ち着くのだ。
僕と伊藤はどういうわけか友達になったが、例えて言うなら僕は真面目男で伊藤はチャラ男っていうカンジだ。

伊藤は大きく腕と足をポーンと伸ばしてから仕事にとりかかった。
僕もそろそろするかあ、という具合で自分の仕事に手がける。
起動してあるパソコンのマイドキュメントのフォルダーの中に入っているファイルをクリックする。
炊飯器の機能スイッチの設計図が画面上に映し出された。


「あれ?こんなんだっけ」


まだ脳が寝ているせいか、まるで他人がつくったように見えた。
目を擦ってみる。
あれ。先週の土曜につくってた時、どこまで書いたっけ。
首をかしげた。
書いたフローチャートを始めから順を追い目で辿ってみる。
そういえば先週の日曜は―――。
固定電話の内線の着信音やキーボードを叩く音の中で思い出した。
僕は昨日の日曜の出来ごとを順を追ってトレースしてみる。





「アー。もうそろそろおしまいかあ。まだ遊び足りないわ」
ミネ子ちゃんは名残惜しそうに言う。
僕たちの楽しいデートもそろそろ幕を閉じつつあった。
周りの景色に目をやる。
遊園地に焼きつくほどオレンジ色に染まり、ライトアップもすでにされていた。
まだギリギリまで遊ぶ客もいれば、僕たちのように帰る客もいる。
家族連れやOLの子たち、修学旅行に来てた学生の連中も笑いながら出口へ足を向けてた。


「うひひ。何をいってるのさ。ミネ子ちゃん、あんなにお化け屋敷コワイコワイと言ってしがみ付いてたくせに」
ちょっぴり意地悪く言って見る。

「あ・れ・は・別。お化け屋敷は乗り物の内に入らないわん」
ミネ子ちゃんは口を尖がらせ僕の肩にぶつかるフリをした。

「チッチッチッ。わかってないなあ。お化け屋敷は定番のアトラクションだよ。あんなお化けが出たぐらいで僕の後ろに回って泣きつくなんて、イヒヒ。キミもお子ちゃまだな」
僕はミネ子ちゃんの肩を指でツンと押した。
でも、あんときのミネ子ちゃん、すごく可愛かったな。
思わず三日月のひっくり返ったような目になる。

「もう。スケオくんのイジワルぅ。そういうスケオくんだって観覧車で顔ひきつってたじゃない。自分のことを棚にあげちゃって」
たしかに乗ってるあいだ足がブルってた。こっちは高所恐怖症なんだよ。
でもそんな事、口が裂けても言うまい。

「あっ。言ったな?可愛い顔して。ミネ子ちゃんでも容赦しないかんね」
ミネ子ちゃんに寄りかかってピストルポーズをした。

「えへへ。可愛いだなんて、嬉しいなあ」
ミネ子ちゃんは顔を赤くさせて はにかんだ。
そんな彼女を見て思わずドキっとなる。



出口を抜けるとだんだん人通りが少なくなってきた。
夢のような心地だった遊園地から出てしまうと現実に引き戻される。
だんだんと覆いかぶさるように日が暮れ、うっすらと夜のカーテンが降りてきた。
木枯らしが吹き抜けてきた。
着ているトレンチコートだけでは少し寒く感じる。
ミネ子ちゃんはタクシーで帰るわと言ったので、僕はそこまで送っていくことにした。夜道に女性一人で歩かせては危ない。
ポケットに手をつっこみ走り抜けていく車のヘッドライトやネオン街、並木通りに飾ったイルミネーションを見惚れていた。
こんな時にぼんやり、後輩のマコトの顔を思い出す。


同じ部署で働いている23歳の女子社員。僕から見て4歳年下だ。
僕とマコトは別に付き合ってはいないが、お互いに冗談を言い合ったり向こうから絡んできたらコラーまてー、とふざけてマコトを追いかけまわす。
ハタからみて兄妹みたいだが、僕の心はマコトに惹かれていた。
彼女は地味で一見真面目そうだが、そういう飾らない性格というか素直なところが好きだ。
キリリとした表情もいいけど、それが突然すこぶる笑顔になると可愛さが何百倍も増す。堪らなく最高に可愛い。
マコトといて、時々少年のように胸をトキめかせることがある。
女性らしいミネ子ちゃんも憧れで素敵なひとだが、マコトは花で言うなら向日葵といったところだろうか。
二人は僕にとって魅力的なひとなのだ。


「スケオくん。ベンチでした話のことなんだけど」
僕の前で歩いてたミネ子ちゃんが言う。

「えっ」
一瞬なんのことかと思った。あ、あの時の膝枕してたときの話か。

「わたしも…好きな人…特にいないんだ」
ミネ子ちゃんはクルリと振り向き、はにかんで白い息を出す。

「え。そうなんだ。あはは」
ポケットから手をだし尻をかく。
さっきまで後輩のことを考えてた自分に後ろめたさを感じてしまった。僕は続けて言った。

「えっ。でもミネ子ちゃんみたいな美人なひと、放っておかないけどな」
「そんな。美人だなんて」
「いやいや。ほんと美人だよ。だってクラスのみんながキミのことを花が丘高校のマドンナと言ってたんだよ?しってる?」
「まあ。ほんと。オホホ」
口をおさえてミネ子ちゃんは笑った。

「でもね。わたし、美人じゃないけど、お見合いの話とかもちかけられてお付き合いもしたことがあったの」
ほらやっぱりね。キミほどの美人だったら絶対に色男は放っておかないんだから。少し残念に思ったけど内心ホっとした。僕はマコトに気持ちが揺らいでいる。

「へぇー。どんな相手?医者の卵とか弁護士とか」
僕はひょうきんになって聞く。

「うふふ。まあ、医者も弁護士もいたわね。それに同じ教職員とかも」
クスクスと笑うミネ子ちゃん。続けていった。

「でもね。どれだけスキルのある人でも、この人!と思える人がいないのよ。今日みたいなスケオくんとの遊園地のデート以上に楽しいと思ったことがないのよ」
「え!ほんと!感激しちゃうなあ。」
僕はおどけて言った。

「じゃあそいつら、ミネ子ちゃんが全部振ったのかよ」
「オホホ。だってピンとこない人たちだもの。親の七光なんか全然興味ないわ」
「ひぇー。ミネ子ちゃんも罪なひとだな。美人に手を出すとコワイ!」
「あら。お上手なのね。うふふ」
コロコロとミネ子ちゃんは笑う。
やはり美人だと得だな。

「スケオくんはお見合いとかしたことないの?」
目をクリクリさせてミネ子ちゃんは聞く。
「うん。まあ。僕は仕事一筋だからね」
こめかみをかく。
見合い。考えたことないなあ。モテないし、とにかく仕事と勉強ばかりしてきたから恋愛すらもしたことがない。母親も諦めてそういう話を別にもってこないしなあ。

「じゃあじゃあ。今、好きな人とかは」
身を乗り出してミネ子ちゃんは聞いてきた。
僕は一瞬言葉を詰まらせたが
「うん。いないよ」
と嘘をついた。本当は後輩のマコトが好きなのに。
ゴクリ。生唾を呑んだ。
目の前には憧れの美女がいる。
こんなモテない僕にミネ子ちゃんはどうやら気があるみたいだ。
僕はなんてツイているんだ。
こんな綺麗な女性がデートに誘ってくれたんだ。
もうこれを逃したら二度とないぞ。
自分の内のどこかで邪な気持ちがおおきく膨らんでいく。


それから僕とミネ子ちゃんは沈黙のまま歩いていた。
街中のにぎやかさ、車の走行音があるというのに
僕たちの靴音ばかりが耳障りになる。
気まずいな…何か話そうと思ったが


「アッ。ここでいいわ。スケオくん」
とうとうタクシー乗り場まで着いた。

「大丈夫?家まで帰れるかい?」
僕は聞いた。

「うん。大丈夫よ。送ってくれてありがとう」
「ハハハ。今日は楽しかったよ」
「うん。わたしも楽しかった――じゃあね」

そっけない。
いや、何か彼女は言葉を詰まらせたようだ。
今度いつ会える。もう憧れの彼女に会えないのか。
違うだろ?これで終わらせてはいけないだろ?僕は焦った。
アレ…彼女の目からキラリと光る物を見た。
目を擦りそれをもう一度見た。ほとんど暗くてよく分からない。
銀河の瞳から星のカケラがいくつも零れ落ちた。
どうして。どうしてキミは、涙を流しているんだ。
無理やり口角をあげるミネ子ちゃんはボロボロと涙をこぼした。
ミネ子ちゃんは慌てて顔を隠しタクシーに乗り込もうとする。
突然 僕の胸を締めつけた。
胸が灼熱してきた。まるで初恋をした中学生のように。
考えるよりも先に足が動いていた。


「ミネ子ちゃん!」


僕は叫んで駆けつける。行き先をいいかけたミネ子ちゃんは振り向いた。運転手も僕たちを見て驚いている。


「イヤっ、ダメ!こっちにこないで」
逃げようとするミネ子ちゃんの細い手首を掴んだ。


「なんで、なんでキミは泣いてるのさ」
「こ、これは…」


問い詰められたミネ子ちゃんは目を赤くさせ俯いた。
僕は彼女の真意をしっかりと確かめたい。
手をそっと頬にあて顔を向かせた。


「ミネ子ちゃん、好きだ。ずっと前から好きなんだ」


ついに告白した。
ミネ子ちゃんは喘いだ。
瞳はうるみ、唇もしっとりと濡らせている。
僕は肩を抱いて、柔らかな唇を奪った。


「……」


彼女は目に溜めていた涙をこぼし、鞄を地面に落としてしまった。
静かに目を閉じ僕を受け入れる。
それは長いキスだった。周りの景色が一瞬止まったかのように思う。
僕とミネ子ちゃんは夢中になって舌と舌を絡ませた。


「ヨォ!見せつけてくれるネェ、若いの!」


タクシーの運転手が帽子をあげ囃し立てた。
僕たちはハッとなりやっと唇を離す。


「あ、いや、その…」


は、はずかしいなあ…。
僕たちは髪をさわるか、腕をさするかしてごまかす。


「ここじゃあなんだから…」


とミネ子ちゃんは、もじもじさせて言った。
僕も一緒にタクシーに乗り込み、彼女に「いい?」と聞いてから僕から“行き先”を言って走らせた。
静寂な中、僕たちは車のなかで寄り添う。
よし。僕は決意を固めた。
ミネ子ちゃんと僕は今夜契りをかわすのだ。



10年ぶりに再会してすぐに僕はミネ子ちゃんとキスしてしまった。
なぜだろう。
冷たいボロアパートで一人孤独に暮らすのに嫌気をさしたからか。
それとも30近くもなって、はやく童貞を捨てたくて焦ったからだろうか。
いや、憧れのマドンナをこの腕で抱きたかった。
高校のときからずっと彼女を求めていたのかもしれない。
彼女もいつのまにか僕という平凡な男に惹かれていた。
親に決められた見合い相手と結婚したくなく拒みつづけ独身でずっと生きてきた彼女だ。
僕と同じ寂しい思いを10年間過ごしてきたに違いない。
僕とミネ子ちゃんは生まれたときからずっと運命の赤い糸で結ばれていたんだ。


タクシーに乗り、できるだけ人目のつかない隣街のラブホテルまで走った。
ホテルでキーを受け取り、窓のない部屋に通された。
コートを脱ぐ時間を惜しんでまた僕たちは狂おしく唇を重ねる。
なんて柔らかいんだ。
彼女の甘い唇を押し包み、ねっとりと舌を絡ませる。
彼女はビクンとさせ答えた。喜んで僕を求めてくる。
ミネ子ちゃんは甘い吐息をもらし舌を絡ませる。
たちまち僕の脳みそがとろけて体が灼熱してきた。
唇を離すと糸をひいた。


「あふ…」  「えへ…」


ミネ子ちゃんの頬が紅潮している。可愛いなあ。
僕はミネ子ちゃんのコートに手をかけた。
互いに着ている服を次から次へと剥いていく。
彼女の残る一枚の下着を脱がせた。
とうとう生まれたままの姿となった。
白い百合の花が佇んでいるように見える。
あぁ…なんて美しいんだ。白い肌が月のようにまぶしい。
愛と美と性を司るギリシア神話の女神アプロディーテーも恥じらうほどに美しすぎる。
僕たちは隅々まで見つめ合って喘いだ。


「綺麗だよ。ミネ子ちゃん」
「アッフン。スケオくん…」


僕たちの体は灼熱しベッドへもつれ込んだ。
歓喜が五体を貫いた。
ミネ子ちゃんの足を割り、僕は跨いだ。
指と指を絡ませて唇を貪り合う。
10年間、僕はどれだけ寂しい思いをしたことか。
ミネ子ちゃんと出会うために僕はずっと独身を貫いてきた。
別々の道を歩んだ僕たちは、ずっとこの時が来るまで震えて待ち焦がれていた。
これからは灰色から色鮮やかな暮らしに変えてくれる。
この世のものではないくらい、突き上げてくるような歓喜を感じてきた。




「ミネ子ちゃん…イイのかい。こんな僕なんか」
僕は唇を離してミネ子ちゃんに確かめた。
ミネ子ちゃんは胸を隠さずにコクリと頷く。


「スケオくん。抱いて。抱いてほしいの」
ミネ子ちゃんはすがるような目をして言った。
突然涙を零した。


「今まで親が決めたお金持ちの人や将来に困らない職業の人とばかり見合いをさせられてきた。
でも、私は本当に好きな人としか寝たくないし結婚したくないの。
いつだってスケオくんのことばかり思い出してしまうの。
高校卒業してからずっと会ってなかったのに、アナタと過ごした楽しい事ばかり思い出してしまう。
スケオくん。もうアナタ以外の男の人は考えられないの。
一生のお願い。我がままな私だけを愛して」
彼女は首に腕を巻きつけ懇願をする。
すがってくる彼女がとても愛しく思った。


「もちろんだよミネ子ちゃん。キミだけを愛すよ。誓うよ。
僕は完璧にミネ子ちゃんに首ったけさ」
「ほんと、スケオくん。うれしい…」


彼女の銀河の瞳からまた星のカケラが零れ落ちた。
綺麗だ。まるで宇宙のように吸い込まれるような瞳だ。
彼女の唇を奪い無我夢中で抱き合った。
そして、僕たちはアダムとイヴのようになり、やがては一つとなり燃えつきてしまった。



(つづく)

後書き

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作者:白河甚平
投稿日:2019/12/23 16:03
更新日:2019/12/31 16:38
『サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー』の著作権は、すべて作者 白河甚平様に属します。

前の話 目次 次の話

作品ID:2225
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