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作品ID:243
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Devil+Angel=Reo

小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結

前書き・紹介


第二部・第7話。

前の話 目次 次の話

 璃維が翼と出会うことになったのは、過去のレオ争奪戦だと、後に送られてきた紅來璃維本人による手記には書かれていた。



 ……第7回、レオ争奪戦会場。

 今回のレオ争奪戦は、いつもどおりではなく、少し変わっていた。



「はじめましてー」

「……」

「ちょっと、きいてますかー?」

「……」

「……すこしは、はんのうしなさいよー」

 目の前で、白いワンピースを着て佇むショートカットの黒髪を持つ5歳ぐらいの少女は、なかなか反応しないこちらに不貞腐れて、でも隣に座る。

 背の低い雑草が、ぎっしりと敷き詰められた、この温室は地下にできており、またこの上にはフェリアンヴェスピュリア大公国宮殿となっている。

 その宮殿に自分が訪れたのは、ただ単に自分が悪魔の家系であるということだけで、今日、此処に用事があったのは自分ではなく、祖父母であり両親であった。自分はそれにつきあわされただけだ。

 だからこそ、この少女とこの温室で出会うことは予想外であり、予想できるはずもなかったのだ。



 相変らず、このショートカットの少女は不貞腐れたまま、隣に座っている。

 後にこの少女が朝日奈翼という少女であり、この少女が将来のラファエルなどと思わなかった。



「むぅ。じゃあさ、きょうは、なにしにきたのー?」

 その問いにも自分は答える気なんてなかった。答える必要がなかったといってもいい。



「わたしはね、お姉ちゃんのおしごとっ!」

 そこで、初めて疑問が生まれた。



「お姉ちゃん?」

「そう! あさひな、ないとっていうの」

 朝日奈騎士。その名前は自分でも知っていた。

 将来は必ず、レオ争奪戦に関する天使の役職に就くとも言われている少女。



「朝日奈、騎士?」

「うん。しってるのー?」

「……」

 まさか、あの朝日奈騎士の妹だとは知らなかった。いや、確かに妹が居るとは聞いてたけど。

 この温室で、その妹と出会うこととは……。誰が予想できた?





 それから数分後。宮殿自体が揺れたような、感じがした。

 いや、実際揺れた。

 思わず、防御体勢をとり、なぜか分からないが、無意識に少女を背中へと隠す。



 温室に続く唯一の扉が開かれたとき、丁度、レオ争奪戦が始まって。

 扉の向こうに居たのは、先ほどまで話していた朝日奈騎士だった。



「翼」

「お姉ちゃんっ!」

 自分の背中から、少女が飛び出す。扉を背にして佇む、もう一人の少女へと駆け寄る。

 姉と呼ばれた少女が、翼を抱きしめながらこちらを睨む。

 ……気づかれてると悟った。

 こっちが悪魔だと、気づかれていると。さらに言えば、こちらが不利だとも。

 防御体勢を解くつもりはないが、目の前の朝日奈騎士という少女を甘く見てはいけない。



「紅來璃維?」

 正直、朝日奈騎士が自分の名前を知っていたことに驚きを隠せない。



 それが、翼との出会いであり、正確に言えば、騎士も出会った出来事だった。





「あのとき、宮殿が揺れたのが、まさか爆弾によるテロだなんて思わなかったものね」

 所変わって、ラファエル宮殿の庭に造られたテラス。白いテーブルにはティーセットが置かれており、そこに刹那や璃維、翼やライナ、媛、春袈といったメンバーが集まっていた。



「まあそうだな。あの時は、ただ単に、レオ争奪戦の開始合図だと思ってたからな」

「でも、よく考えてみればそんなの有り得ないんですよね」

 談笑する翼と璃維。置いていかれている状態の刹那以外のメンバーは、溜息をついた。



〈……刹那の気持ちも考えなよ……〉

〈姉さん、表情暗いし……〉

〈お姉ちゃん……。これだから悪魔嫌いなのよ〉

 上から春袈、ライナ、媛というメンバーの心情である。



「……あ、あのさ。レオ争奪戦って何時からなの?」

 遠慮気味に話し掛ける刹那。



 それに、場の空気が変わったのを感じたのが刹那自身だった。



後書き


作者:斎藤七南
投稿日:2010/07/26 19:03
更新日:2010/07/26 19:03
『Devil+Angel=Reo』の著作権は、すべて作者 斎藤七南様に属します。

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作品ID:243
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