作者 | 鳥取砂丘 | ![]() |
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作者HP | 奇妙堂古書店 | |||
掲載誌 | 4コマなのエース(角川書店) | |||
単行本数 | 2巻(連載終了) | |||
Wikipedia | ||||
チャート | ![]() |
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内容 |
「一生(ゲームで)遊んでいたいから!!」 田舎からゲームクリエイターを目指して上京した「宮本史子」が入学したのは「東京ゲームクリエイター学院」。 ゲームが好きで、ゲームを仕事にするために集まった個性豊かな生徒達てんこ盛りのほっこり、ゆったり、学園ライフ4コマ。 専門学校かつ、ゲームに関する学び舎というやや変わった設定から生み出されるのは他のどの作品でも描けない独自の世界。 ちょっと中二な保護者の「小島華音」、唯一ゲームではなく美術志望のちょっと控えめさん「堀井澄珂」、 年下だけどしっかり者のツッコミ「遠藤陽向」、大学とのダブルスクールのパソゲーマスター「湯川愛美」。 その他個性の塊の様なクラスメイト達に囲まれ、立派なクリエイターになるため勉強中! 個性豊かでありながら非常に落ち着いており、読みやすい不思議な作品。 なお、作者のツイートより「多少の誇張はあるけど大体実際あった事が元になっていたりするのですよ」とのことであり、魔女っぽい人もお侍っぽい人も実際にいたとのこと。 |
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感想 |
「ゲームクリエイターのたまご」という特殊な設定ですが、ネタとしては非常に落ち着いたものが多く、比較的とっつきやすい感じです。 画風も可愛らしく、読みやすいです。 掲載誌がやや濃いめなので・・・と思っていたんですが、「ゲーム」という色よりも、ゆるやかな学生生活がメイン。 加えて、中学や高校といったよくある舞台ではなく専門学校。 そのため、出身も年齢もバラバラ(とはいえ、年齢はある程度近いが)な設定。 校舎も貸しビルの中という他の学園モノとは全く違う学園モノです。 そして・・・ネタは落ち着いていますが、登場人物のキャラは濃いです! 舞台が舞台ですからねぇ・・・ 何なんだ・・・名前が「亜神院・F・灰人」って・・・ 「ゲームクリエイターの専門学校」が作品の大きな特徴の一つのため、授業風景もよく描かれます。 ゲームに関するCGなどの他に、アナログ授業(通常の美術)もあります。 当然ですが、ゲーム自体の話題も多いです。 場所や登場するアイテム(ゲーム等)も実在するものやモデルがあったりと、それらを探すのも楽しいかも。 身近な話題から、専門分野。 話題自体も賑やかですね。 2巻に入ると「就職」や「プレゼン」が大きなテーマに。 ただ「好きなことをやりたい」というだけではなく、「具体的に何をしたいのか」「そのために今何をするのか」という社会に出るために必ずぶち当たる大きな壁。 それに対してそれぞれが考え、動き、答えを模索していく様子が描かれます。 そのため、1巻に対してシリアスな展開も多かったです。 裏表紙に「『スキ』を仕事にするって何だろう・・・?」とありますが、それが大きなテーマになっています。 「ゲームやアニメが好き」という人は多いと思いますが、それを実際に仕事にするって・・・? 好きなことを仕事にしたいと思うのは自然なこと。でも、それを具体的な形で考えることはあまりないというのは不思議なこと。でも、大抵そんなもの。 この作品はそれを実際に「学校に通う」という形で行動に移している子たちを描いています。 好きだからこそ本気にもなるし主張もする。 そして、だからこそ壁にぶつかるとくじけそうになる。本気だからこそ。 就職という近くて得体の知れない物に悩んで、プレゼンで上手くいかなくて苦しんで(特に1回目のプレゼンは皆こうなっちゃいますよね)。 私も今では人前で話すこともプレゼンも平気ですし、好きな方。 ですが、最初はホント嫌で嫌でしょうがなかったです。冗談抜きで彼女たちのような状態でした。 でも、回を重ねる毎にどうすればいいのか分かって来て・・・ だんだんと「嫌だ!」「逃げたい!」が「楽しい」「面白い」に変わっていきました。 伝えたいことを自分なりに伝える。そしてそれが「伝わる」。 本気になるほど、工夫するほど、苦労するほどそれが楽しくなる。 2回目のプレゼンではみんなそれが分かり始める入口に立っているのがよく伝わってきました。 学校でのプレゼンでは社会と違って「批判してやろう!」なんて人は滅多にいません。 だから、彼女たちみたいに思いっきりぶつかっちゃって下さい! 「本気で生きる」って最高に面白いです! それを制限の多い4コマで描き切ることのできる漫画家さんは決して多くないでしょう。 ましてや商業誌で連載作としてならばなおのこと。 是非とも本気で未来を形にしようとする若者たちの日々をその目に焼き付けて下さい! 設定や舞台、登場人物は非常に濃い筈なのですが、和やかで何故か読むだけで癒される作品。 登場人物のキャラクター性や穏やかなネタということもありますが、何と言っても鳥取砂丘先生の画風が一番の要因だと思います。 「境界線上のリンボ」とはまた大きく違う作品ですが、この癒し系の優しい画風は同じ。 そして、この作品ではぶち抜きや大ゴマなど、コマの形を自在に変えての表現が頻繁に登場します。 それがコマや空気、間や空間の広がりにピタリと合っています。 表現としての「4コマ」という枠を最大限に活用していますね。 トップのつぶやきでもよく言っていますが、4コマは表現に制約が多いです。 その中でいかに形を崩さずに「表現したいモノを表現するか」。 この作品では上記のような表現が作品の空気と相まって、その良さを引き立てているのです! や、偉そうなこと言っていますが、美術的な技法とかは分かりませんよ。 音楽や美術鑑賞は好きですが、「描くこと」は大の苦手です(好きなんですけどね、描くのも。へたっぴなだけです。)。 ただ、素人の私でも4コマというフィールドで思い切り表現を行っているな、と感じたということです。 |
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雑記 |
本作では当然多数のゲームのネタが使用されています。 それはゲームそのものからハードからクリエイターさんまで・・・ ホントに多岐にわたっています。 それらに関するネタを拾い集め、解説したレポート、 題して、『T専ラフスケッチ』! ・・・はい、まんまのネーミングですね。 |
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さらに雑記 |
本作の宮本史子のTシャツがゲームに関連するものになっている事に気がつかれましたか? 実は、ただゲームネタというだけでなく、本編の内容にもちなんでいるのです。 というわけで、それらを纏めてみました。 題して、『Tシャツラフスケッチ』! ・・・はい、上記のレポートありきのネーミングです。 |
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単行本 | 発売日 |
・1巻:2012年6月1日 ・2巻:2013年6月1日 |
試し読み | |
関連項目 | ●ジャンル |
・美術モノ ・ゲームモノ ・専門学校 |
●チャート | ・癒し |
●データ | ・作品の舞台 | ●作品研究 |
・T専ラフスケッチ ・Tシャツラフスケッチ |
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●作者別 | ・境界線上のリンボ | ●各巻感想 |