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男爵校長 - DS

「世界は約束でできている」
2巻のオビ(元ネタは1巻P77)のこの言葉が示すように、「ただの」の頃とはまた雰囲気の違うのがこの「DS編」です。

とはいえ、ベースは「ただの」と同じです。
登場人物に大きな追加もほとんどありません。
ただ、月彦の存在が作品全体にミステリアスな雰囲気を生み出しています。
話の中でもシリアスなシーンや、意味深なセリフも多く登場。
やや哲学めいた内容もあります。
そう、「ただの」との大きな違いはそれです。
「女子高生たちの賑やかな日常」ではなく、「DS部の謎」がストーリーに大きく関わり、その秘密へと向かって物語が進んでいきます。
その謎自体は1巻で一区切り。でも、2巻ではアリカさんと月面紳士のちょっと切なくハカナイ物語(2巻帯より)。

意味深長なセリフ哲学的なセリフ
DS特有の意味深長なセリフ(DS・1巻97左2コマ目)哲学的なセリフも増量(DS・2巻P10右2コマ目)

途中から各話の1ページだけ(大抵最後から2ページ目)、コマ割りになっています(カップラーメンのお話から)。
この作品は1話の中で時系列的に話が進んでいくタイプの作品で、これがアクセント的な演出となっています。
また、1巻の後半では物語が大きく動き、その際の演出はこの作品全体を通しても特殊なもの。
笑いもなく、シリアスかつ独特な会話が展開されます。
DS部とは一体何か?月彦の目的は?そして、アリカとの関係は・・・?

途中で徐々に設定が変化していくのもこの作品の特徴の一つ。
「ただの」のラストで月彦が登場、「DS」のラストでその月彦の正体が・・・
それによって作品が大きく動き、物語や人間関係が変化します。
「DS」の頭では校長がバージョンチェンジし、生徒達の制服も変わりました。
また、「DS」の1巻のラストから2巻の頭にかけて小蘭の他の人の呼び方が変化します。
加えて、「DS」のラストでアリカの髪型がショートに!
基本的な所は変わらずに、実は色々と変化している作品です。
そして、小夜子の成長とかもね。
「料理を覚えた」をはじめとする目に見えやすい成長もあります。
でもそれ以上に、ずっと周囲に流されて「聞き役」だった彼女が、アリカの事を心配して自ら危険なDS部へ乗り込む。
以前の彼女では考えられなかった「友達のために危険の中に単身で飛び込む」というのは大きな変化だと思います。

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