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信長の忍び - 5巻


前巻からの続き、織田家V.S.浅井家からスタートです。
信長にとってみれば当主の長政は義理の弟(長政の妻・お市は信長の実の妹)。
ホント、人間ドラマだけでも波瀾万丈です。
これまで以上に「戦」、そして「人の死」が重く描かれるのがこの巻の特徴。
とはいえ先生の作風のため決して暗く重苦しい雰囲気にはなりません。
しかし、その「戦いにかける思い」「人の死」の重さはしっかりと描かれ、伝わってきます。
既に5巻。多くの武将たちが登場し、その関係性や背負うものも多く描かれています。
それがあるからこそ戦が「ただの戦い」では無く感じるのです。

上記の「姉川の戦い」は4巻で一矢報いられた信長にとってそれを取り返す一戦となりました。
その一方で、5巻の後半はさらに次の関係者、本願寺の存在が明らかに。
そして、フラグもしっかりと立てて、それを回収。
信長の性格は「魔王」と例えられるように覇道を地で行くもの。
それこそが最大の魅力であると同時に、時には不要な敵を作ることも・・・
「姉川の戦い」もその1つのいざこざを清算するための戦いでもありました(決着はこの時点で付きませんが)。
そして、本願寺との戦いもまた、その失策の1つ。
この戦いは本当に長期にわたり、次の巻でいよいよ本番を迎えることになります。
そしてまさかの転身を果たし、信長と三度相まみえることになった斎藤龍興と三好三人衆。
信長の覇道の中で最も大きな意味を持つ「野田・福島の戦い」「石山合戦」が始まります。
個人的には大阪が舞台ということもあってそういう意味でも思うところがあったりします。
自分の住んでいる所でかつて何があったのか。歴史モノの作品ではそういった楽しみ方もありますね。
かの英雄たちがこの地で何を想い、何を成したのか。
特にこの戦いはこれまでになく大きく重要なもの。
「この失策が無ければ歴史はどうなっていた・・・?」と思うほどのもの。
「歴史にIFは存在しない」と言いますが、そう考えずにはいられません。

この5巻は作中で千鳥も言っていますが戦の連続。
その中でボケもありますが、全体的にそちら方面はこれまでより薄め。
戦と人間ドラマ、そして男たちの生き様を目に焼き付けて下さいっ!

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