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信長の忍び - 6巻


帯にも書かれていますように、「歴史的ターニングポイント」なのがこの6巻。
負の連鎖によって信長は危機的状況に追い込まれてしまいます。
P16で顕如が言っているように、「信長が作った敵」が大きな意味を持ちます。
これまで戦ってきた「あの人たち」も登場。
千鳥にとっても非常に複雑な思いの戦いになります。
もはや顕如無双とも言える展開の連続。
P123で千鳥が「もー!!一向宗やっかいすぎー」と叫んでいますが、まさに信長にとって天下を取るための最大の敵だったのでしょう。

ツッコミ担当・明智光秀は前巻から引き続き天然系のコメディリリーフに。
シリアスなシーンが続くため、KY要員としての立ち位置が安定しているようです。
それと同時に、出番が極端に減っています。
元々コメディリリーフが多かったのですが、秀吉をはじめ多くの人物が信長本体とは別行動。
戦やシリアスなシーンが増加したこともあり、なかなかツッコミとしての本業(?)を果たす事が出来ないんですね。
特にこの6巻の最重要人物であり、最も出番の多い1人でもある顕如が物語としてもコメディとしてもカギを握ります。
流石に彼に対してはツッコめませんもんね。
そのため、ツッコミは本願寺サイドの皆様が中心になりがちでした。

秀吉といえばパシリ出身でありながら信長の偉業を継ぐほどにまで出世した戦国時代を象徴する存在。
P122でもお市が横山城主になった秀吉に対して「どうやってなったんだろう・・・」と頭を抱えて不思議がっていますが、誰もが想像できなかった事。
前巻、そしてこの巻の前半における信長の敗戦の連鎖を止め、反撃の狼煙を上げたのは誰であろう秀吉。
この作品では彼が1つ1つ信長の信頼を勝ち得て上りつめていく様子も同時に描かれています。
ただのパシリではなく、彼の忠臣であり、いくつもの武勲をあげている事。
仁徳に優れ、多くの見方を得ている事。
なぜ多くの部下の中でも彼が後継者たりえたのか。
秀吉といえば「猿」「後年奥さんに頭が上がらなかった」等のイメージが先行しがちですが、彼も立派に戦国武将。
そういったなかなか光の当たらなかった「戦の中の秀吉」が描かれている事も非常に興味深いです。
次の7巻ではその秀吉が二千 V.S.一万( + 顕如の策)という圧倒的不利な「箕浦の戦い」に臨みます。
自らの人脈と仁徳で得た仲間と信長から信頼を勝ち取って与えられた兵と城。
おおう、主人公みたい。
7巻は「秀吉の忍び」か?

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