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放課後のピアニスト

作者 十野七 放課後のピアニスト
作者HP
掲載誌 まんがタイムラブリー → まんがタイムスペシャル(芳文社)
単行本数 2巻(連載終了)
Wikipedia 放課後のピアニスト
チャート
内容 とある高校のピアノ部を舞台にした、まさにピアノ一色の4コマ作品。
天才的な腕だが練習では不協和音を奏でてしまう「響レミ」(通称:レミ)・レミの保護者で万能人間の「山田曽良」(通称:ソラ)・レミ以上の腕で鬼才と称されるブロークンハート「黒木志土」(通称:シド先輩)・いつも笑顔のちゃっかりさん「花野羅々」(通称:ララ先輩)らのピアノ部の部活動を中心に描かれる。
また、途中からは顧問の「文川弥生」(通称:フミ先生)も加わり、主な話はこの5人で展開される。
2巻の終盤ではさらに初代部長「小石美登(みど)」が登場し、レミ達の進級に伴い後輩の「藤原美礼」が加わる。
全員がピアノが大好きであり、演奏することを楽しんでいる。そのため、ネタのほとんどがピアノに関係するネタで構成される。
その一方で、専門用語はほとんど使われず、音楽知識の無い人が読んでも何ら支障はない。

当初は「まんがタイムラブリー」で連載していたが、同誌のリニューアルに伴い「まんがタイムスペシャル」に移籍。
そのため、移籍後の1回目は改めて人物の紹介が行われた。
作者にとって初のコミックス。

なお、登場人物の部員達の名前はそれぞれ音階(“ド”や“レ”)の組み合わせになっている。
※顧問の「文川弥生」は、通称の「フミ先生」が“ファ”と“ミ”。
感想 私の趣味の一つがギター弾き語り。社会人になってから始めました。
ずっと楽器を演奏してみたい・・・という思いがあったからなんですが、その最大の要因は、妹が「放課後のピアニスト」だったからなわけで。
別にピアニストの家系でもないんですが、妹は幼少期からずっとピアノを習っていて、家ではよくピアノの音が響いていました。
本人にその気があれば音大に・・・だったんでしょうが、結局高校の卒業と共にやめてしまい、現在は主婦をしております(ちなみに妹は高校の時にクラリもちょびっとだけ)。
そんな環境で生活していたためか、私もいつか楽器を演奏してみたい・・・となったわけで。
後ほど、母も昔ギターボーカルだったと知り、父を除くと実は音楽一家だったと1年前に知りました(2012年1月時点)。
というわけで、本作を読んだ時にはもう、色々な思いが駆け巡りましたよ。
そんなこんなで、この作品を読む時のBGMはいつもピアノメインのCDです。

ホントにピアノ一色の作品。全く軸がブレません。
音も動きも表現に大きな制約がある紙という媒体。
加えて、「4コマ」と、コマの形や大きさ、4コマ目にオチを付けるという制約。
その中で全く「ピアノ」という軸がブレないまま2巻の連載を完結させるというのは想像するよりも遥かにに大変なことでしょう。
それだけにネタもピアノに関するものが多いです。キャラクターの個性に関するネタも、自然とピアノに関係するネタですし。
よくある「部活をテーマにしながら気が付けばただの日常作品」とは明らかに違います。
がっつりピアノです。
でも、難しい専門知識や専門用語は出てきません。お見事!
あ、でも、怖い曲を弾く部員達(1巻P48)・・・これは曲を知っている方が面白味が増します(特にレミ、笑顔で弾いてるし・・・)。
それに、ピアニストや音楽に携わる人間なら共感できたり「それはやりすぎ!」と思えたりします。
「その世界に少しでも触れたことがあるから分かる世界」。芸術方面はやはりそれが出やすいですね。
当然、一般の方が読んでも楽しい作品である事は保証しますし、ぜひ読んで頂きたい。
でも、音楽に携わった事がある方なら、なおのこと読んで頂きたい。そして、全力で音楽を楽しむ彼女達の姿にほほ笑んで頂きたいです。
「あ、音楽ってやっぱりこんなにも楽しいんだ」と再認識させてくれる作品です。
それに、タイム作品なので絵も萌えではなく一般向け。
萌えが苦手な方にも安心して読んで頂ける良作でございます。是非是非。
とっても読みやすい作品という点もお薦めポイント。是非是非。

ピアノ以外のネタも楽しくて大好きです。
レミの間違いシリーズ、「弾」を「蝉」(1巻P39)、「つわもの」を「つけもの」・「枕草子」を「枕菓子」(1巻裏表紙)なども「あ、レミっぽい」と思ってしまいます。
あとは、1巻P91&92のフミ先生のネタは声を出して笑いました。
こういうシュールなネタ、大好物でございます。

あと、レミとソラの関係性もすっごく好きです。
幼馴染で、永遠のライバルで、お互いの事を誰よりも理解していて、凸凹で、お互いがいないと張り合いがなくって。
でも恋愛とはまた違って。
この絶妙な距離感が見ていてすっごく楽しいです♪
5年後も10年後も、ピアノの側で同じようなやり取りしてるんでしょうね♪

にしても、「4分33秒」がネタに使われる4コマもこの作品くらいでしょうね(1巻P59)。
いやはや・・・まさか4コマサイトでこの曲の事を扱う日が来るとは・・・
変わった曲としては、「0分00秒」(演奏時間:0秒)、「ロングプレイヤー」(演奏時間:1,000年)。中には「楽器を弾く以外の動作」を演奏として指定しているモノもあります。
音楽って、奥が深いです。

というわけで、4コマ史上最もピアノな作品です!

Wikipedia職人(4コマ専門)の乃凪いるかです。
というわけで、本作の記事をこちらに書きました。良ければご覧下さい。
Wikipediaクリックで、4コマ協奏曲スタート!
雑記 本作の連載終了の翌月、「ひすい色ライブラリー」という先生の読み切りが掲載されました。
本を愛する図書委員長の、本に対する愛が止まらない!という内容。
で、この作品ともう1本、ネームを提出したお話があったそうで。
それが先生のブログで公開されている「放課後のピアニスト番外編」
ネタとしての完成度高いですし、内容もファンとして嬉しい内容。
しかも、「レミ本人がいないけど存在感ばっちり!」という「番外編」ならではの内容。
・・・んが、そんなステキな内容だけに「単行本に載らないとなると読者ががっかりする」という事でお蔵入りになったそうです。
ネーム段階でも魅力たっぷり♪
単行本を読んだ後にこれを読むと、もうニヤニヤしっぱなしの内容です!
さらに雑記 本作の2巻発売開始直後のコミックマーケット82にて本作のメインキャラの一人にして先生ご自身の一番のお気に入りキャラである「フミ先生」にクローズアップした、
「なぞの文川家」
という同人誌が出ました。
単行本2巻発売記念です!
フミ先生がばあちゃんの不思議な発明品を持ってきて・・・
という本編とは打って変わってピアノが一切出てこない内容でした。
で、「COMIC ZIN」さんで販売しているんですが・・・なんと、先生のサイト「ミニマムセンチュリー」でも通販実施中!
在庫のある作品に関しては、これまでの同人誌も購入可能です。
ものすんごく精力的に活動されてらっしゃいます!
単行本 発売日 ・1巻:2011年7月7日
・2巻:2012年8月7日
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