酸素計画

日記など雑多な文章

日記未満のことを書きます。

映画『リゾートバイト 』の感想です。
#鑑賞記録

作品の内容に触れているため、感想は続きに伏せています。

あとセリフはうろ覚えです。
主人公の女性はさくら、主人公の男性はさとし、さくらの友人はのぞみ、バイト先の旅館にいる従業員は岩崎、だと思っていますが、名前を勘違いして覚えているかもしれません。




始まり方は元の匿名掲示板の話っぽい旅館だ〜! と見ていましたが、まさか行くときの船でのぞみが遊んでいるゲームが伏線になるとはね……と思いました。
あと旅館の仕事が終わったら、食事したり、暇な時間は海辺で遊んだり、釣りをしたりの青春感がすごくてホラーとは思えない明るいBGMがなぜか面白かったです。(他のホラーはここから落とすための演出と分かりますが、この作品に限ってはホラーを盛り上げるための演出か、青春出したい! と特にホラーのために入れていないのか分からないため。逆に言うと伏線の入れ方がすごすぎる。)

女将さんが変な部屋行ってるから肝試ししよ! は倫理的にやばくね〜っすか……? と思いましたが、若者から提案せずに調子に乗りやすい中年男性が提案してくるのがリアルで納得しました。
(今どきの若い世代は他人のプライベートのところに踏み込もうぜ! とかはあんまり自発的にやらない気がします。心霊スポットの廃墟に行ったユーチューバーが逮捕とかされる時代なので、本当にモラルがない人だけ余計なことに首を突っ込む時代になった感覚が反映されている気がしました。)(考え過ぎでは?)

岩崎さん、さとしに刺し身を出してきたときに(これが美少女ならラブストーリーなのだが……)と引きました。まあ今の時代は感染症とかで美少女でも引きますが。
さとしは主張が弱めな感じの性格かな? と思っていたら、ギックリ腰をやった岩崎さんを助けないうえに掃除用の水を容赦なく流してて容赦なくて笑いました。

謎の部屋で何か食べている表現がすごくてビビりました。絶対に食べたくねえ!! と久しぶりに感じました。

周りの人には見えない何かが追いかけてくる不気味なところは『イット・フォローズ』を思い出すくらいよかったです。(ロケ地が雰囲気があるのと入り組んでいる感がすごくて、島という狭い土地で、逃げ場がなく段々と追い詰められていく怖さが好きです。)

リゾートバイトだと思っていたら「禁后(パンドラ)」が出てきて爆笑しました。リゾートバイトに出てくるとは思わないだろ!!!
これが洒落怖のクロスオーバー……?!

子どもたちが追いかけてくる場面で、商店に入ったときに男の子に手を引かれるところで(幽霊でも子どもの手を払うのは抵抗があるな……小学生くらいの子どもの手を大人が振り払ったら、大人なら駄目だよな……)とめちゃくちゃ倫理が働きました。
でも、さくらが大根を掴んでさとしを掴んでいた人の頭を殴るとは思わねえが?!! と笑いました。何でここで幽霊ではなくて生身の人間を殴るんだよ!(私は幽霊の方を殴ります……生きている人間は警察を呼ばれるが幽霊はたぶん大丈夫なので。子どもの幽霊を殴るのは抵抗がありますが……私は汚い人間なので)
あとここで幽霊が見えない人たちが、ただぎょっとして引くのでなく、さくらがさとしに何かされたかと誤解してもすぐに助けてくれたところに倫理を感じました。

さとしが子どもに囲まれたときに、「ぽ ぽ ぽ……」と聞こえてきて笑いました。八尺様?! なぜここに!!(匿名掲示板発祥の怪異スマブラ?)

八尺様に取り憑かれてからの旅館の主人に「お前らあそこに行ったのか(「お前らあれを見たのか」だったかも)」というセリフから、お寺に行くまでの流れがあまりにも洒落怖で見たものすぎて怖がるどころかテンション上がりまくって笑顔になってました。

ただ寺の住職が怪異は若者にしか取り憑かないために、「中年は不要だ!」と一喝されるのが勢いありすぎて笑いました。
攻撃力強すぎるし、もう少しオブラートに包んだほうが……でもテンポがいいのと勢いありすぎて面白いので独特の面白さが出ていて個人的には好きです。

ここから夜明けまで出てはいけないやつ……ふん、古典怪談や洒落怖で見聞きしまくった典型的なやつですわね……まあ余裕っしょ〜!!(コンセントとノイズキャンセリングイヤホンと、ワイファイ、スマホ、各機器の充電器があれば)と思っていたら、知ってる人の声で誘われて扉を開けててびっくりしました。
でも、これは私がオカルト好きなせいでこういう感覚だからであって、怪談苦手とかだったりしたら開けちゃうよね……と思いました。(ここでさくらがさとしをすごく心配しているんだと分かったり、のぞみを信頼してるのも分かったりして場面の展開と説明がうますぎてすごいです。)

魂が抜けた人の魂を戻すにはその人の肉体が必要なのは分かるけど、その手段が「魂を抜けた人に入れて動かす」なの急にハンターハンターの操作系みたいな感じでホラーなのにアクションみたいな要素が出てきて笑いました。
あと魂を入れる儀式でトラブルがあって中身がおっさんになった主人公たちで物語が進むのクレイジーすぎるだろ。はちゃめちゃに面白いのでいいのですが、一歩間違ったら「は?」で面白くなくなるクレイジーなさじ加減を見事に面白く見せていてすごいです。

八尺様がしっかり怖くて、薄い本で見た八尺様と違う……?! と脳がバグりました。R18の八尺様を近年見すぎていて八尺様が怖いイメージが薄れているのミーム汚染ですか?

八尺様を見たものは八尺様が見えてしまうため、八尺様が視界に入ると追いかけてくるのは分かりますが、魂を移し換える儀式を失敗したせいで外見は中年男性で中身は無免許運転でレースゲームプレイヤーの若い女性が「この私に仕掛けてくるなんて……」と死亡フラグを立てまくったカーチェイス(八尺様は車に乗っていないので、正確には何なんだと思っています)が始まるの展開がいい意味で振り切っており最高!!になりました。
物語の流れ的に「どうしてそうなる? 他に手段はあるだろ!」ではなく「確かにこの状況で生きるか死ぬかならこうする……こうする……決心早くて好感が持てるし、ずっと心霊的に怖くてハラハラするシーンが続くよりバトルを入れて臨場感があるのも最高だけど……どうしてこうなる?!」と必然的に物語に組み込まれた八尺様vs無免許運転のカーチェイスが始まる構成はすごすぎです。
無免許運転、カーチェイス、夜道が組み合わさっており、真面目にある意味怖かったのも好きです。

それにしてもかくかく走る八尺様は予算がなかったのかもしれませんが、明らかに人間が普段目にする生き物と違う何かがやばいものだと分かって個人的には好きです。

中年男性の腰さえなければカーチェイスがいい線行っていたのと、岩崎さんが謝るのが面白すぎて最高でした。八尺様とのカーチェイスで人間が勝ったらホラー映画の雰囲気がどうなるんだろうと思っていたので、こうなるのかと夢中で見てました。

八尺様を倒すときの御札を貼る和尚の場面がかっこいい! と思っていたら、唐突に島が燃えて錫杖で八尺様を「はあ!!!」とした場面で寺生まれのTさん……? となんとなく思いました。
無茶苦茶な場面もそれっぽく入れる勢いがすごすぎて、なに今の?! えっ、まあ島で信仰があるって説明あったし……当然なのかも〜?!!! で受け入れました。最後まで説明がなかったのも潔くて最高です。面白ければすべてよし!!!

外見は主人公二人なのに、中身は中年男性のロマンスシーンが始まり、BGMがいい感じになったのマジで意味が分からなくて笑いました。ここで入れるか?! いや面白すぎるので最高です!!

「中年は魅入られない!」みたいな残酷なセリフがありますが、逆に言うと中年はこの島ではめちゃくちゃ強いのかもしれません。(若者がメインになりがちなので中年と言われる年代の方が活躍するのが見られたのは新鮮でよかったです! それに若者より中年の方が経験があって魅入られにくいとか理由もありそうなのも)

無事に入れ替わって日常、ギャグパートが始まって……と思ったら、まさかの伏線回収も始まり、魂が戻った二人の中身が違うのでは……? という落差に心底ぞっとしました。
戻ってきたのは旅館夫妻の子どもと住職の子どもと示唆されていますが、魂だけでも戻そうと何年も執着していたり、味方と認識していた住職でさえ加担していて味方ではなかったと分かるのが怖すぎです。

ぶっ飛んだ展開がところどころありますが、細々とした描写に倫理観があったり(ヘイトが溜まりにくい)、無駄なシーンがなかったり(登場人物の人柄が分かる、後で伏線として回収される)、ぶっ飛んだ展開もなぜそうなるかの理由・登場人物に動機があるため納得できたりテンポよく進むためストレスが少なく見れたり、怖いところはしっかり心霊的・ヒトコワ的な怖さを盛り込んでおり、物語の軸や展開、なぜ登場人物たちがそう動くのかが分かりやすいとある程度ぶっ飛んだ展開を入れてもしっかりまとまったすごく面白い作品になる証明をしていてすごかったです!
ヘイトやストレスを排除して鑑賞を継続させる防御力とテンポのよさや独特の展開、ホラー要素で最後まで面白い! と感じさせる攻撃力のバランスがよすぎて名作すぎます。



・考えたことメモ
禁后はこの世に魂を留めておく儀式で、爪と歯はこの世に留めておきたい魂が宿っていた肉体(遺体)から取ったとすれば辻褄が合う。

海で亡くなった子どもの魂を禁后の儀式で留めておき、八尺様で魂を取られた部外者などを利用して別の肉体に魂を戻そうとしていた。

八尺様が何でいるのかは聞き取れなかったセリフとかにあったのかもしれないのですが、島の誰かが肉体から魂を取るために利用できると思いついたときに島の信仰を利用して祓える準備をしておいたのが作中で燃える島や錫杖の描写につながるのかも? など考えました。

というか、住職や旅館の夫妻あたりの関係者は子どもたちが八尺様から助けを求めているのかもと知っていて、誰かの肉体から魂を抜くのに八尺様は利用できる代わりに、子どもの魂を別の肉体に戻すには八尺様が邪魔をしてくるかもと分かっていて島ぐるみで対策を立てていたとかなら理解できるな〜と勝手に想像していました。
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