酸素計画

日記など雑多な文章

日記未満のことを書きます。

『下妻物語』の鑑賞記録です。
内容に触れています。
#鑑賞記録


下妻物語、最高……!!!
この気持ちを十数年ぶりに感じました。
まだまだお子様時代にこの作品をテレビで見て、「映画ってこんなにおもしろいんだ!」と思ったため大人になってから劇場で見られて泣いていました。


【思い出とかいうクソ自語り】
ここは飛ばして問題ありません。
なぜならキモオタの自語りなどよほどの文豪でない限りは時間の無駄となる気持ちの悪い文字列に過ぎないからです。世の中には大勢の文豪がいらっしゃいますが、当然のごとく私は文豪ではありません。
でも、日記代わりに書きます。
自我とかダセーから書かねーぜ……と粋がっていましたが、そんなことより自分の記憶が曖昧になって都合よく改竄されてぼやけていく方が怖いので。

私はあまり映画を見て育たなかった。見たのはジブリとポケモンとごくまれにピクサー、あとは休日の午後にテレビで流れる映画とイベントで乗るバスで流れる映画だった。
そのため、周囲とあの映画が面白かったなどと共有できた記憶がない。
何が面白いのか、自分はどういった表現を好きと感じるのか、マジで微塵も分からなかった。
自我が芽生えかけた子ども時分、休日にテレビを見ていたら偶然にも『下妻物語』がやっていた。だが、運の悪いことに桃子が牛久大仏にいるイチコのもとに行く途中に事故に遭う場面であった。もう終盤の方の場面である。
それでも、その場面の勢いのよさと絵面の面白さ、そして、その一場面を見ただけで「これは嶽本野ばらの『下妻物語』だ!」と一瞬で結びついた。当時から嶽本野ばらの本をそこそこ読んでいる、今思えば謎の子どもであった。特にゴスロリ好きでもないので本当に謎過ぎる。
そこから最後まで映画を見たはずなのではあるが、記憶にない。しかし、原作がある映画でも原作の骨子となる核を巧みに掴み取り、文章としての表現を映像としての強みを活かして新たな表現の斬新さに心を打たれたことは間違いなく覚えている。
なぜなら、次の日に学校で対して共通の趣味を持つわけではないクラスメイトと「昨日テレビでやっていた『下妻物語』の面白さ」で盛り上がったからだ。
改めて当時を思い出すと、話しかけてきたクラスメイトは映画のタイトルではなく「こういう映画がやっていておもしろかった〜」と話し始めていた。それに私が「『下妻物語』?」と気がついて盛り上がったのだ。
あの話をしたクラスメイトも私も、昨日見た映画が面白かったけれど、原作はあまり子どもが読むものでもなく、さらに当時はうまく面白さを言葉にして伝えることもできないから、タイトルを出さなかったのだろう。
ポケモン、ジブリ、ピクサー、ディズニー映画の話題ではしゃぐことしか知らずに、みんなが見ていないかもしれない映画を共有するのに戸惑っていたのだ。周りで流行っていない映画をするのは子どもには難しすぎたからだ。
この経験は、私の中で「自分が今うまく言葉にできなくても面白いものは面白くて、他人と共有できると何だか嬉しい」「面白いものを身近な人と偶然にも共有できたのは、ささやかでも奇跡みたいで面白い」という記憶になった。

そんなこんなで今の私は「どこから見ても面白いものは有無を言わさずに面白い」と信じているし、縁という概念を何となく使ってしまうし、気まぐれで映画を見ている。
理論とか理屈にこだわって面白さに優劣つけたり、こだわりもなく周りに流されてシネコンで上映されるめちゃくちゃ有名な作品だけ見てそれがすべてとか思ったりしたくないと、自分の好き勝手に映画を見られているのは『下妻物語』が原点にあると思います。
単に偏屈なオタクになったといえばそれだけの話ですが。


【『下妻物語』の感想】
十数年ぶりに見て、深キョンと土屋アンナが出て……いるだと?!!?となりました。顔がよすぎてびびりました。今まで知らなかったので……
顔がいいのにセリフとか頭突きとかしていいのか?!あとパチンコもしてる……とかいろいろ思いました。(俳優さんのイメージ的に大丈夫?!という文脈です。)

あとこんなん百合だよ〜!と思ったり、『ベイビーわるきゅーれ』くらい仲良しか?!!?最高!!と当時は思わなかったことを感じたためオタクになったなあ……としみじみ実感しました。

尼崎、尼崎ねえ……尼崎変死事件とかあったし、尼崎変死事件の本を読んで生活保護に関してあれな話も知っていたので、当時と比べて嫌な方向に解像度が上がった目で見ていました。
梅田とかでいろんなブランドの服が見られるのは、マジで学生のときは夢だよな~とか思いました。

下妻から東京が遠すぎないか?!と思いました。あと今はなきジャスコがめちゃくちゃ出てきて笑いました。本当に田舎はジャスコしか行くところがないからな……と頷きました。だってあと田んぼと畑とビニールハウスと山と河しかないから。

それにしても桃子のキレキレな物言いは芯があるのと、しっかり考えられていて今でも憧れます。

VERSACEとユニバーサルジャパンにピーとか入れられていて笑いました。……ちゃんと配慮されているのか?

イチコの話を聞いていないようで桃子がちゃんと聞いているのが優しいし、面白いからと思いながらもそばにいるのは気になるからなのかもしれないなと少し思いました。

ヒミコの伝説部分のアニメーションがかっこいいしかわいいしで、売春・薬漬けのハードさやヒミコの強さをうまく表現している!と感動しました。

中盤くらいで桃子の父親が宮迫さんと気がついて「あーよくわかんないけど焼肉とかでいろいろありましたね……」としみじみ思いました。
これが2004年の作品を2023年に見る重さだ!(原作者の嶽本野ばらさんも逮捕とかいろいろあったなあ……)

桃子の部屋のロココぶりがマジで最高すぎて最高です。
『今日駅で見たかわいい子』とかで「かわいい〜!!!」ってなるものが桃子の周りには詰まっていて素晴らしいです。

BABYの刺繍を請け負った桃子の戸惑い、イチコへの心配、そして磯辺さんのかっこいい一言で収束していく物語に、「友達はいらなくて平気だし、いないと思っているけれど、実はちゃんといて、それは桃子がなんだかんだ思いながらもしてるイチコに接してきたから成り立つ友情なんだよな」というデカ感情が出てきました。

牛久大仏のところでのアクションも見せ方がうまいし、桃子のブチギレた迫力と「こんなでまかせ信じるのか?!信じるんだ……」となるギャグの入れ方が絶妙で、イチコと桃子が無事に帰れるのかはらはらしつつも最後は『下妻物語』というギャグ青春物語にしっかり戻ってエンディングにつながるのが最高です。

最後にイチコと桃子が原付きで二人乗りするシーンで、過去のイチコと桃子が映るのが示唆的というか、二人ともあまり傷ついているとははっきり言わないけれど未来を考えるのが辛かったであろう(イチコは中学生のとき、桃子は母が出ていった小学生のとき)自分を今と重ねて「今は友達がいるよ!幸せを掴み取ったんだよ」と思っているのかなと考えました。
何かこのあたりがよすぎて泣いていました。

イチコがモデルになるくだりは尺的に難しいかと思ったら、ちゃんとエンディングにあってめちゃくちゃかわいくてかっこいいイチコが見られてマジ最高でした。
かっこいい系のイチコが着こなすロリータ服、本当にクールでかっこいいのに超はちゃめちゃにかわいくて……本当に好きです!!!

エンディングでイチコと桃子が衣装チェンジしたり、わちゃわちゃしてるのがかわいすぎて「百合?!?!」と脳がバグりました。
かわいすぎます。最高……!!!!
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