『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の感想です。#鑑賞記録 作品の内容に触れています。続きを読む・エンディングの曲でウー・ジンさんが歌っている?!!!!となり、『戦狼2』の作中などで歌うところは本人が恥ずかしそうに歌う動画などみていたこともあり、(えっ……めちゃくちゃ歌がうますぎる……練習されたんですね……)とキモオタになりました。・これでウー・ジンさんとウー・ユエさんが歌えるので、お二人で共演して一緒に主題歌とか歌ってほしいですね……(キモオタの見る幻覚)・この映画は主要人物の名前がどん!と出るのでよかったです。会話とかで出てきた名前を確認するまで(えっと誰だろう……)という状態で見る労力を省いていてすごい。・主人公、死ぬんだよな……1で……と辛くなりながら見ていました。・序盤からカメラのカットが印象的で「おっ!『攻殻機動隊』の人形使いみたいにネットワークから生まれた生命体かな、それとも三次元以上の観測が可能になって過去や未来にメッセージを送れるようになった未来の人類が見ていることへの示唆かな」と考えていました。550Wか~『2001年宇宙の旅』のHALみたいなことしやがってよお!!!!!(文明維持に最適なのは流転の地球計画でないなら、こう……もっと……やり方があるだろ!!!!別の計画の方がコストやリスクが低いとか提案したり、人類が脳のデータのバックアップを取る流行を作って行かせてじわじわデジタル生命派を増やしていくとかさあ……時間がない割に10年単位で問題を起こしているので、10年あれば人の倫理とか価値観に影響を与えることくらいできるだろ!!!)(真面目に考えると月がぶつかる危機も、あれを流転の地球計画で回避できない場合、人類ほぼ絶滅ルートなのでどうやってモスは文明の存続をさせるつもりだったんだよ!!!!と思います。月がぶつかるまでの数日間で文明を存続できるに十分数の人間のデータ取得ができるとは思えないし、そのデータの維持は地球がないとネットワークや機器がすべて破壊されるだろ!!!!地下にそんな完璧にデータ保存とかできる設備があるのか????)・いろんな地域や人種の人がかなり出てくるので、金があるってすげ〜!と思いました。娯楽映画でもこういう細かなところでポリティカル・コレクトネスを意識していると表現できるので、やはり娯楽とポリティカル・コレクトネスは相反するものではなく同時に成り立つんだな……と思いました。(本当にポリティカル・コレクトネスが意識されているかはともかく、表向きにでも意識しているなと思わせるのは、「は?ポリティカル・コレクトネス?そんなの娯楽作品にあったら面白くない」とか語るより遥かにましだと私は考えています。)・は?宇宙飛行士が訓練に恋愛事持ち込むなよ……(無性愛者なので恋愛するなという規律があった場合それを守れない人がいると、「え……もしかして恋愛感情とか性愛がある人……?怖……」とどん引きしながら見ています。)・訓練が和気藹々としていていいですね〜と見ていたらテロが発生、さらに宇宙のターミナルが落ちてきて死者が3000人を超える大惨事で辛くなりました。・ここの戦闘機の戦いが『スカイ・クロラ』を読んでいるみたいで楽しかったのですが、草薙水素がきっと軽々やっただろう飛び方なんだろうな……あの小説みたいに軽やかかつ淡々とした戦闘機の戦いを見せてくれ……と思いました。(『スカイ・クロラ』シリーズが好きすぎて、戦闘機のアクションを見るより小説を読む方が遥かに楽しいので戦闘機のアクションメインの映画を見なくなりつつあります。)・ウー・ジンさんのアクションシーンが、格闘そんなにやっていない人でも運動神経と宇宙飛行士の基礎トレ、臨機応変な判断で何とかできた!みたいな雰囲気で最高でした。腰が引けているのを見て「ウー・ジンさん、めちゃくちゃ戦えるのに……ギャップ萌え……?」となりました。あんなに「戦ったことない!怖いけどやるしかない!」みたいな演技をしているのに、香港映画とかはバキバキに強いんだよな……・『This コミュニーケーション』を全巻読んでいたおかげで、デルウハ目線で見ていました。こういう規模がでかいSFは感情移入すると辛くなるので、合理的に感情を排して見ると楽です。特にこの作品はウー・ジンさんが未来で死ぬのが確定なのでこうでもしないと見ていられません……・デジタル生命派の定義する生命って何……?!と思いました。2024年でも生命の定義には議論が巻き起こるし、倫理も時代に応じてどんどん変わっていくので気になります。・デジタル生命派の言い分も分からなくはないが、そのデジタル生命とやらを維持するエネルギー、機器、設備、メンテナンス、ネットワークの問題はどうするんだよ!!!!精々太陽が太陽系を飲み込む数百年までの間しか持たねえじゃねえか!!!!(『シドニアの騎士』みたいに超距離航行可能なロケットにデータとエネルギーを積み込んで、地球みたいな環境を見つけてどんどんネットワークを築いてコピーを増やして、老いや死が排除されたデータに多様性を持たせていくのもありかもしれませんが。)それなら流転の地球計画と並行して、地下都市に入れなかった人類は構築したネットワークにデータ移行させるとかして、テロしてる暇より流転の地球計画派に擦り寄って「一緒に共存しましょ〜我々の主義主張は人道的なもので、あなたたちにとって危険分子にはなりませんよ〜」ってアピールしていけよ!!!!!真面目にデジタル生命派をやれ!!!!(真面目……?)(過激にテロやっていると、勝つか負けるかの極端な二択に執着しがちなので、結局勝つとか負ける以前に戦う土俵に立たずに共存していく方向性でじわじわ思想、教育あたりから広げていくのが着実なので。)・そもそも人間の脳を電子的に完全にコピーできたとして、そのデータに対して出力、入力がなかったらどうなるの?みたいな疑問が尽きないな……(ここらへんは原作の『攻殻機動隊』の最後あたりでも語られてきたことなので、20年以上経っても人間を電子的に置き換えられるのかみたいな疑問にスマートな回答がなくて、少し退屈でした。流転の地球計画に対立する側が欲しくてデジタル生命派がいる気がして……)・アンディ・ラウさんはめちゃくちゃかっこよかったですが、トゥー・ホンユーさんは娘のデータを量子コンピュータで何度も繰り返させて変化を起こさせて自意識を発生させているのも怖いし、月のエンジンテストあたりで「こいつ……殺しておいたほうがよくないか?(デルウハ)」とかなり思いました。(娘の自意識が苦しんでいるのを見ても、データを繰り返し再生しているのが、まともな精神と倫理があったとしても娘への異様な執着が勝っていて怖すぎです。)・がんがんエンジンを作るあたりがメガストラクチャーがメインのSF小説や『BLAME!』を思い出して楽しかったです。今までの人類の技術では叶わなかったことが、技術の発展でがんがん進んでいって効率的で合理的なシステムが構築、維持されていくのに私は美しさを感じます。(その裏で人間の労働が奪われているのもリアルですごかったです。)・宇宙飛行士になる面接での試験で、「なるほど、寿命の短い妻より別の保護者に権利の付与か!その手がありましたね!」となりました。デルウハ目線で見ていたのと、テストらしいのでこれくらい割り切って答えるよな!と思っていたら、主人公が落ち込んでいて(……私が社会不適合者なのか?でも、宇宙飛行士になるくらいならめちゃくちゃ優秀で感情ごときを排して最も合理的な回答程度できるだろ?)と思いました。(私なら「妻を捨てて合理性で保護者を選んだことになり、体裁も息子のメンタル面でもデメリットが大きいため、まず妻に権利を付与して妻の死後に権利を別の保護者に移譲します。もしくは、妻本人に権利の付与を打診して本人に意思決定させた過程を取ります」と答えます。妻本人に意思決定させる過程があると、人間の場合は同情されやすくなるし、妻本人の意思を無視したことを行ったみたいな非難も発生しないので。)(そもそも量子コンピュータか人工知能かは分かりませんが、人のどんな行動に対して最も価値があると認識する基準が分からないな〜と思いました。あの質問群だと各個人で最も合理的な判断の方が評価値が高いか、個人ではなく集団の利益になる合理的な判断の方が評価値が高いか分かりませんでした。)(文明の維持への評価値が高いなら、こうした感情的な問題の発生しやすい家族なので権利を行使せず、問題が起きにくそうな別の家族に権利を譲りますとかの方がよさそうです。なんで面接テストの攻略方法考えているんだ?)・核兵器や死ぬことが求められる作戦への描写を見ていて、これだから規模がでかいSFは辛い……となりました。あと50歳以上って……やめろ!!!そういう流れになると断れないだろ!!!!若者よりは……とか、老いた方が若者を犠牲にするよりは……なのかと思いましたが……・中国とロシアは共産主義だから仲がいいよな!!!と思いました。この世界での北朝鮮の扱いとか気になります。・えっ?!ロシアの起爆装置はトリガー剥き出しで、安全装備みたいなのがないのか?!?なんでですか?・この世界、インターネットがないんだ……その方がいいかもね……と思いました。復活しましたが。・馬先生、善性の塊かもしれません。説得はへたですが……(娘を喪って気落ちしているやつに正論を語っても、さらに落ち込むか、執着できるものに執着するだけだろ。デルウハに怒られるますよ。)・月がヤバイ!暗号解読とかやらないと!デッドラインは30時間!になっていくあたりのヤバイ労働描写にうっ……!となりました。・主人公が大変すぎて辛くなった心が「1で死ぬまで死なないんだからもう落ち込むのやめよう」と切り替えて、終盤はメタ的な視線で見ていました。(SCPでこういうオブジェクトあったな~みたいな気持ちになります。)・インターネットを回復させるあたりの描写に、北京だけなんでできないんだ?その原因は人種だ、みたいな文脈と仲間=「仲間って言っても全人類ではなく、中国系ルーツあるいは共産主義者なんだろうな」みたいな雰囲気を感じてしまい、「おっ!ナショナリズムとイデオロギー!!」と思いました。(中華人民共和国の検閲を通った映画のナショナリズムとイデオロギー感は、かなり丁寧にこの作品に紛れていて、なるほど〜(悪い学習)と思いました。質の悪い作品はナショナリズムとイデオロギーがあからさますぎて「もう少し……がんばって……(がんばるな)」と思いますが、この作品はお金がかかった娯楽映画でヘイトコントロールや緊張感を和らげるガス抜きの描写もしっかりしているところに、ごく薄まったナショナリズムとイデオロギー感がさらりと表現されているのが独特で興味深いです。)・軍用犬(機械)がかわいくて……もうこの子とバディを組んで、ヤーヤーちゃんが生きていたかもしれない未来のためにお父さんは生きようよ……と思いました。・核爆弾の爆発が人の手なのが限界感があるうえ、それぞれの爆発はそれが起爆装置を持った人の意思決定でされたのか……という重みがすごかったです。(あと序盤の「地球は美しい」を回収していくセリフもすごく脚本や構成が丁寧で感動しました。私は倫理的な面から、自爆するのを美徳とは思いませんが。)・最後はヤーヤーちゃんとお父さんの協力でインターネットが回復して流転の地球計画がなんとかいけましたが、あの二人の生活(?)をエンドで見る限り結構怖くてぞっとしました。うさぎとか見ても、「生成したんだ……」としか思わないし……・あとデジタル生命といっても入力と出力の幅があれだと狭すぎて、20年経ったくらいで人間性のところで苦痛や狂気とか発生しそうですが……大丈夫なのか気になります。steamとかでゲームできるとか、ネットを介して生きている人とチャットできるならよさそうですが。(作中のあの描写を見ると、限られた世界しか生成できないため、自意識が壊れていくのを並列処理を繰り返して、生活に幅を持たせて防いでいるのか……?と思いました。)・スウィングバイってなんだろ〜と思っていたら、「あっ、これ重力を利用して勢いをつけて推進力にするやつか〜」と分かってどこで自分が知ったのかわからず混乱しました。『地球外少年少女』『ブラックマジック』『火の鳥』あたりの知識っぽいのですが……怖……・ロッシュ限界のところは翻訳と説明の限界という感じがしました。説明が出るのを想定しておらず目で追いきれませんでしたが後から何度も「これ以上月が近づくと地球が崩壊する!」と説明してくれるので、感覚で分かって助かりました。(鑑賞者に向けて丁寧に「説明しなくても分かってると思いますけど、セリフや展開で今の状況を分かりやすくてしてまーす!」と導線がしっかりしていてとても見やすかったです。)・月がなくなると中秋節がなくなるのか〜みたいなセリフに、「いや、既に地球の自転が変わってしまっているため、既に太陽暦や太陰暦は機能しているとは言えず、暦に対応した文化や行事はこの時点でないとも言えるのでは?なぜ月がなくなるタイミングで?」とクソみたいな理屈を捏ねていました。(月=中秋節というイメージによるセリフで、暦とかはあんまり関係ないのかもしれませんが。)・最後に過去、未来、現在に渡って影響を及ぼしているモスが出てきてわくわくしました。最後に前作を見ていると「あっ!」となる演出も最高です。影響の仕方がオカルト(この時点の人類と人類の技術では未知なる存在のため、オカルトの本来の意味で認知できない存在でありますが)っぽくて私はめちゃくちゃ好きです。でも、人類と共存してほしいな……(こういうAIなどの人間以外の知性体が人類と、人類ではない知性体で対立する構造に飽きています。対立するより共存した方がお互いにメリットがありそうなので、個人的には対立させた方が物語として分かりやすくて大衆受けするからやってるだけでは?と思ってしまうので。)・エンドクレジットが『来る』方式で助かりました。・めちゃくちゃ面白いけれどやはり約三時間(173分)って長くないですか……?と思いましたが、『越後奥三面 山に生かされた日々』(145分)が良すぎて二回見たので、自分の感覚が壊れているだけでした。めちゃくちゃ面白い映画は面白いのでどれだけ長くても大丈夫です!!!!・私は内省的なSFが好きなので、『虐殺器官』『攻殻機動隊』みたいな方がやっぱり好きですね~この映画も面白かったけど……みたいな気持ちになりました。(でかい機械、宇宙!より、人と機械の融合、BMI、人間の意思や自我とは何か?みたいな延々と考えても答えが出ないものの方が好きです。)畳む 鑑賞記録 2024/06/14(Fri) 22:49:53
#鑑賞記録
作品の内容に触れています。
・エンディングの曲でウー・ジンさんが歌っている?!!!!となり、『戦狼2』の作中などで歌うところは本人が恥ずかしそうに歌う動画などみていたこともあり、(えっ……めちゃくちゃ歌がうますぎる……練習されたんですね……)とキモオタになりました。
・これでウー・ジンさんとウー・ユエさんが歌えるので、お二人で共演して一緒に主題歌とか歌ってほしいですね……(キモオタの見る幻覚)
・この映画は主要人物の名前がどん!と出るのでよかったです。会話とかで出てきた名前を確認するまで(えっと誰だろう……)という状態で見る労力を省いていてすごい。
・主人公、死ぬんだよな……1で……と辛くなりながら見ていました。
・序盤からカメラのカットが印象的で「おっ!『攻殻機動隊』の人形使いみたいにネットワークから生まれた生命体かな、それとも三次元以上の観測が可能になって過去や未来にメッセージを送れるようになった未来の人類が見ていることへの示唆かな」と考えていました。
550Wか~『2001年宇宙の旅』のHALみたいなことしやがってよお!!!!!
(文明維持に最適なのは流転の地球計画でないなら、こう……もっと……やり方があるだろ!!!!別の計画の方がコストやリスクが低いとか提案したり、人類が脳のデータのバックアップを取る流行を作って行かせてじわじわデジタル生命派を増やしていくとかさあ……時間がない割に10年単位で問題を起こしているので、10年あれば人の倫理とか価値観に影響を与えることくらいできるだろ!!!)
(真面目に考えると月がぶつかる危機も、あれを流転の地球計画で回避できない場合、人類ほぼ絶滅ルートなのでどうやってモスは文明の存続をさせるつもりだったんだよ!!!!と思います。月がぶつかるまでの数日間で文明を存続できるに十分数の人間のデータ取得ができるとは思えないし、そのデータの維持は地球がないとネットワークや機器がすべて破壊されるだろ!!!!地下にそんな完璧にデータ保存とかできる設備があるのか????)
・いろんな地域や人種の人がかなり出てくるので、金があるってすげ〜!と思いました。
娯楽映画でもこういう細かなところでポリティカル・コレクトネスを意識していると表現できるので、やはり娯楽とポリティカル・コレクトネスは相反するものではなく同時に成り立つんだな……と思いました。
(本当にポリティカル・コレクトネスが意識されているかはともかく、表向きにでも意識しているなと思わせるのは、「は?ポリティカル・コレクトネス?そんなの娯楽作品にあったら面白くない」とか語るより遥かにましだと私は考えています。)
・は?宇宙飛行士が訓練に恋愛事持ち込むなよ……(無性愛者なので恋愛するなという規律があった場合それを守れない人がいると、「え……もしかして恋愛感情とか性愛がある人……?怖……」とどん引きしながら見ています。)
・訓練が和気藹々としていていいですね〜と見ていたらテロが発生、さらに宇宙のターミナルが落ちてきて死者が3000人を超える大惨事で辛くなりました。
・ここの戦闘機の戦いが『スカイ・クロラ』を読んでいるみたいで楽しかったのですが、草薙水素がきっと軽々やっただろう飛び方なんだろうな……あの小説みたいに軽やかかつ淡々とした戦闘機の戦いを見せてくれ……と思いました。
(『スカイ・クロラ』シリーズが好きすぎて、戦闘機のアクションを見るより小説を読む方が遥かに楽しいので戦闘機のアクションメインの映画を見なくなりつつあります。)
・ウー・ジンさんのアクションシーンが、格闘そんなにやっていない人でも運動神経と宇宙飛行士の基礎トレ、臨機応変な判断で何とかできた!みたいな雰囲気で最高でした。
腰が引けているのを見て「ウー・ジンさん、めちゃくちゃ戦えるのに……ギャップ萌え……?」となりました。
あんなに「戦ったことない!怖いけどやるしかない!」みたいな演技をしているのに、香港映画とかはバキバキに強いんだよな……
・『This コミュニーケーション』を全巻読んでいたおかげで、デルウハ目線で見ていました。
こういう規模がでかいSFは感情移入すると辛くなるので、合理的に感情を排して見ると楽です。
特にこの作品はウー・ジンさんが未来で死ぬのが確定なのでこうでもしないと見ていられません……
・デジタル生命派の定義する生命って何……?!と思いました。2024年でも生命の定義には議論が巻き起こるし、倫理も時代に応じてどんどん変わっていくので気になります。
・デジタル生命派の言い分も分からなくはないが、そのデジタル生命とやらを維持するエネルギー、機器、設備、メンテナンス、ネットワークの問題はどうするんだよ!!!!精々太陽が太陽系を飲み込む数百年までの間しか持たねえじゃねえか!!!!
(『シドニアの騎士』みたいに超距離航行可能なロケットにデータとエネルギーを積み込んで、地球みたいな環境を見つけてどんどんネットワークを築いてコピーを増やして、老いや死が排除されたデータに多様性を持たせていくのもありかもしれませんが。)
それなら流転の地球計画と並行して、地下都市に入れなかった人類は構築したネットワークにデータ移行させるとかして、テロしてる暇より流転の地球計画派に擦り寄って「一緒に共存しましょ〜我々の主義主張は人道的なもので、あなたたちにとって危険分子にはなりませんよ〜」ってアピールしていけよ!!!!!
真面目にデジタル生命派をやれ!!!!
(真面目……?)
(過激にテロやっていると、勝つか負けるかの極端な二択に執着しがちなので、結局勝つとか負ける以前に戦う土俵に立たずに共存していく方向性でじわじわ思想、教育あたりから広げていくのが着実なので。)
・そもそも人間の脳を電子的に完全にコピーできたとして、そのデータに対して出力、入力がなかったらどうなるの?みたいな疑問が尽きないな……
(ここらへんは原作の『攻殻機動隊』の最後あたりでも語られてきたことなので、20年以上経っても人間を電子的に置き換えられるのかみたいな疑問にスマートな回答がなくて、少し退屈でした。流転の地球計画に対立する側が欲しくてデジタル生命派がいる気がして……)
・アンディ・ラウさんはめちゃくちゃかっこよかったですが、トゥー・ホンユーさんは娘のデータを量子コンピュータで何度も繰り返させて変化を起こさせて自意識を発生させているのも怖いし、月のエンジンテストあたりで「こいつ……殺しておいたほうがよくないか?(デルウハ)」とかなり思いました。
(娘の自意識が苦しんでいるのを見ても、データを繰り返し再生しているのが、まともな精神と倫理があったとしても娘への異様な執着が勝っていて怖すぎです。)
・がんがんエンジンを作るあたりがメガストラクチャーがメインのSF小説や『BLAME!』を思い出して楽しかったです。
今までの人類の技術では叶わなかったことが、技術の発展でがんがん進んでいって効率的で合理的なシステムが構築、維持されていくのに私は美しさを感じます。
(その裏で人間の労働が奪われているのもリアルですごかったです。)
・宇宙飛行士になる面接での試験で、「なるほど、寿命の短い妻より別の保護者に権利の付与か!その手がありましたね!」となりました。
デルウハ目線で見ていたのと、テストらしいのでこれくらい割り切って答えるよな!と思っていたら、主人公が落ち込んでいて(……私が社会不適合者なのか?でも、宇宙飛行士になるくらいならめちゃくちゃ優秀で感情ごときを排して最も合理的な回答程度できるだろ?)と思いました。
(私なら「妻を捨てて合理性で保護者を選んだことになり、体裁も息子のメンタル面でもデメリットが大きいため、まず妻に権利を付与して妻の死後に権利を別の保護者に移譲します。もしくは、妻本人に権利の付与を打診して本人に意思決定させた過程を取ります」と答えます。妻本人に意思決定させる過程があると、人間の場合は同情されやすくなるし、妻本人の意思を無視したことを行ったみたいな非難も発生しないので。)
(そもそも量子コンピュータか人工知能かは分かりませんが、人のどんな行動に対して最も価値があると認識する基準が分からないな〜と思いました。あの質問群だと各個人で最も合理的な判断の方が評価値が高いか、個人ではなく集団の利益になる合理的な判断の方が評価値が高いか分かりませんでした。)
(文明の維持への評価値が高いなら、こうした感情的な問題の発生しやすい家族なので権利を行使せず、問題が起きにくそうな別の家族に権利を譲りますとかの方がよさそうです。なんで面接テストの攻略方法考えているんだ?)
・核兵器や死ぬことが求められる作戦への描写を見ていて、これだから規模がでかいSFは辛い……となりました。
あと50歳以上って……やめろ!!!そういう流れになると断れないだろ!!!!
若者よりは……とか、老いた方が若者を犠牲にするよりは……なのかと思いましたが……
・中国とロシアは共産主義だから仲がいいよな!!!と思いました。
この世界での北朝鮮の扱いとか気になります。
・えっ?!ロシアの起爆装置はトリガー剥き出しで、安全装備みたいなのがないのか?!?
なんでですか?
・この世界、インターネットがないんだ……その方がいいかもね……と思いました。復活しましたが。
・馬先生、善性の塊かもしれません。説得はへたですが……
(娘を喪って気落ちしているやつに正論を語っても、さらに落ち込むか、執着できるものに執着するだけだろ。デルウハに怒られるますよ。)
・月がヤバイ!暗号解読とかやらないと!デッドラインは30時間!になっていくあたりのヤバイ労働描写にうっ……!となりました。
・主人公が大変すぎて辛くなった心が「1で死ぬまで死なないんだからもう落ち込むのやめよう」と切り替えて、終盤はメタ的な視線で見ていました。
(SCPでこういうオブジェクトあったな~みたいな気持ちになります。)
・インターネットを回復させるあたりの描写に、北京だけなんでできないんだ?その原因は人種だ、みたいな文脈と仲間=「仲間って言っても全人類ではなく、中国系ルーツあるいは共産主義者なんだろうな」みたいな雰囲気を感じてしまい、「おっ!ナショナリズムとイデオロギー!!」と思いました。
(中華人民共和国の検閲を通った映画のナショナリズムとイデオロギー感は、かなり丁寧にこの作品に紛れていて、なるほど〜(悪い学習)と思いました。質の悪い作品はナショナリズムとイデオロギーがあからさますぎて「もう少し……がんばって……(がんばるな)」と思いますが、この作品はお金がかかった娯楽映画でヘイトコントロールや緊張感を和らげるガス抜きの描写もしっかりしているところに、ごく薄まったナショナリズムとイデオロギー感がさらりと表現されているのが独特で興味深いです。)
・軍用犬(機械)がかわいくて……もうこの子とバディを組んで、ヤーヤーちゃんが生きていたかもしれない未来のためにお父さんは生きようよ……と思いました。
・核爆弾の爆発が人の手なのが限界感があるうえ、それぞれの爆発はそれが起爆装置を持った人の意思決定でされたのか……という重みがすごかったです。
(あと序盤の「地球は美しい」を回収していくセリフもすごく脚本や構成が丁寧で感動しました。私は倫理的な面から、自爆するのを美徳とは思いませんが。)
・最後はヤーヤーちゃんとお父さんの協力でインターネットが回復して流転の地球計画がなんとかいけましたが、あの二人の生活(?)をエンドで見る限り結構怖くてぞっとしました。
うさぎとか見ても、「生成したんだ……」としか思わないし……
・あとデジタル生命といっても入力と出力の幅があれだと狭すぎて、20年経ったくらいで人間性のところで苦痛や狂気とか発生しそうですが……大丈夫なのか気になります。
steamとかでゲームできるとか、ネットを介して生きている人とチャットできるならよさそうですが。
(作中のあの描写を見ると、限られた世界しか生成できないため、自意識が壊れていくのを並列処理を繰り返して、生活に幅を持たせて防いでいるのか……?と思いました。)
・スウィングバイってなんだろ〜と思っていたら、「あっ、これ重力を利用して勢いをつけて推進力にするやつか〜」と分かってどこで自分が知ったのかわからず混乱しました。
『地球外少年少女』『ブラックマジック』『火の鳥』あたりの知識っぽいのですが……怖……
・ロッシュ限界のところは翻訳と説明の限界という感じがしました。説明が出るのを想定しておらず目で追いきれませんでしたが後から何度も「これ以上月が近づくと地球が崩壊する!」と説明してくれるので、感覚で分かって助かりました。
(鑑賞者に向けて丁寧に「説明しなくても分かってると思いますけど、セリフや展開で今の状況を分かりやすくてしてまーす!」と導線がしっかりしていてとても見やすかったです。)
・月がなくなると中秋節がなくなるのか〜みたいなセリフに、「いや、既に地球の自転が変わってしまっているため、既に太陽暦や太陰暦は機能しているとは言えず、暦に対応した文化や行事はこの時点でないとも言えるのでは?なぜ月がなくなるタイミングで?」とクソみたいな理屈を捏ねていました。
(月=中秋節というイメージによるセリフで、暦とかはあんまり関係ないのかもしれませんが。)
・最後に過去、未来、現在に渡って影響を及ぼしているモスが出てきてわくわくしました。
最後に前作を見ていると「あっ!」となる演出も最高です。
影響の仕方がオカルト(この時点の人類と人類の技術では未知なる存在のため、オカルトの本来の意味で認知できない存在でありますが)っぽくて私はめちゃくちゃ好きです。
でも、人類と共存してほしいな……(こういうAIなどの人間以外の知性体が人類と、人類ではない知性体で対立する構造に飽きています。対立するより共存した方がお互いにメリットがありそうなので、個人的には対立させた方が物語として分かりやすくて大衆受けするからやってるだけでは?と思ってしまうので。)
・エンドクレジットが『来る』方式で助かりました。
・めちゃくちゃ面白いけれどやはり約三時間(173分)って長くないですか……?と思いましたが、『越後奥三面 山に生かされた日々』(145分)が良すぎて二回見たので、自分の感覚が壊れているだけでした。
めちゃくちゃ面白い映画は面白いのでどれだけ長くても大丈夫です!!!!
・私は内省的なSFが好きなので、『虐殺器官』『攻殻機動隊』みたいな方がやっぱり好きですね~この映画も面白かったけど……みたいな気持ちになりました。
(でかい機械、宇宙!より、人と機械の融合、BMI、人間の意思や自我とは何か?みたいな延々と考えても答えが出ないものの方が好きです。)
畳む