小説コラム
リアリティーについて
「リアリティー無き物語に面白さ無し!」これは私の持論です。
似たようなことを娯楽広場の方でも書いていますが、先日ある映画を見てとてもがっかりしたため、もう一度リアリティーについて書きたいなと思ったのです。
まず何やかんや始める前に、私の言っている“リアリティー”という語の定義を確認したいと思います。
知っての通りリアリティーとは、英語の【reality】のことで、既に和製英語となっており国語の辞書にも載っています。意味もほとんど同じく、“現実、真実、迫真性”となっています。
しかし私の主張するリアリティーは、迫真性の意味に近く、
『リアリティーを重視する』=『ノンフィクション小説を書く』
ということではないと、娯楽広場で述べています。
『本当にありそうだ』または、『あってもいいかな』
と思えるのが、私の言うリアリティーなのです。
ここまでは娯楽広場での繰り返しですね。
さて私は、冒頭で、ある映画を見たと言いました。
こんな文章の流れで例に挙げられたのですから、決していいコトでないということは、察しの悪い人でも分かると思います(笑)。
ご想像の通り、私はその映画にリアリティーを全く感じられませんでした。それ故にどん引き(=超シラけた)状態に陥ったわけです。
具体的に二つ、どんな場面だったかをお話しましょう。
一つは、主人公がテロリストと戦うシーンです。
詳しく説明すると何の映画か分かってしまうので簡単に説明しますが、つまり、主人公が素手でテロリストに勝ってしまうんです。それも何度もw。
そこらのチンピラ相手ならわかりますが、ふつーの人が、かなり組織だったテロリストたちに格闘で勝ってしまうわけです。不思議です。
「だって負けたら主人公死んじゃうじゃん」
あ~なるほど。確かに、その時点で映画終わっちゃいますね(笑)。
でもですね、それだと『主人公は絶対に死なない』っていう暗示をかけられたようなもんなんです。
その暗示をかけられたものなら、もう彼(主人公)がどのようなピンチに陥ってもドキドキしません。
「あ~どうせまた助かるんだろ?」
の一言で終わり。もう完全にシラけきってます。こんなんじゃ全然楽しめないのです。
もう一つ。
追い詰められたテロリストのボス。銃を突きつけられ、もう逃げ場は無い。
撃てばいいんです。簡単に殺せます。至近距離です。はずしようがない。
でも撃たないんですね、何故だか。必ず会話を始めるんです、彼らって。
これって実は多いですね。この映画に限ったことじゃない。
つまり、
「ふっふっふ。私の負けだよ。よくここまで来れたものだな」
「何故だ! 何故こんなことをするんだ」
「それはだな、――で、――こうで、――だし、でも――だから、――」
「く、貴様、よくもそんなことを!」
んで、隙を見せたとたん逆転する、ってシーンです。
みなさんも、いい加減飽きてきませんか? このパターン。
この映画に限っていいますと不満に思ったのはこの二点だけじゃないんですが、とにかくこれらのリアリティーのなさに私はひどくがっかりして、「俺の2時間を返しやがれ!」と嘆いたわけです。
リアリティーのあるなしの判断は、その人それぞれでもあります。上記の使い古された戦闘シーンでも、何ら疑問を抱かない人もいることでしょう(だからあの映画は大ヒットしたんだ…)。私が「これはリアリティーがない」と思った場面でも、他の人は普通に感じられることもありますし、その逆もあるのです。
しかし、せっかく盛り上がってきたところでも、こんなシーンが一つでもあれば一気に台無しになってしまいます。これは、見ている側も、また作っている側にとっても大ショックです。
そこで、あなたにとって「こりゃねぇや」と思ったシーンを募集したいと思います。サンプルがたくさんあったほうが、自分も同じ罠にはまらなくて済みますからね。
投稿は掲示板の方へ書き込んでもらえればOKです。(応募が全く無くても、この企画は一人で続けていきますw)
「そもそも、何でこいつ遠藤はリアリティーにこだわるんだ?」
と思った方は、娯楽広場の『作品に何を求めるか』を参照してください。
では早速、下記に「これはリアリティーに欠ける」と思われるシーンを並べてみます。
シーン コメント シラケ度
主人公が一般人なのにやたらと強い 確かに負けたら話しが終わってしまうので、せめて、通信教育で空手を学んでいたとか、何らかの伏線が欲しい ★★★
緊迫した戦闘シーンなのに、何故か会話を始める マイナー映画だけじゃない。結構頻発している。そりゃ会話しながら戦うよりはましだけど……。 ★★★★
ある朝登校中に道の角で女の子とぶつかり、学校についてみると転校生だった 完全にギャグ小説&漫画ならまだ面白いけど、真面目な恋愛モノでこれはないでしょ。 ★★★
とりあえずこんな感じでしょうか。
いわれてみると、「あぁ、リアリティーねーなー」って思いませんかね?
これからも思いつき次第どんどん追加していきますので、みなさんもどしどしご応募下さいね。
遠藤敬之 2005/03/28 記