作品ID:1699
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人魚姫のお伽話
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 完結
前書き・紹介
「給料三ヶ月の裏話」
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――――六月の花嫁って、やっぱり憧れますね。日本じゃ梅雨の季節だから、とも言われるけど、ジューンブライドだもの。
それに、優しい小雨の梅雨の景色の中、紫陽花の雨の花嫁っていうのも、中々、風情と味があると思いません?
手にした雑誌に想いを馳せていた様子の優卵は、何気なく口にしただけのつもりだったのだろう。
けれど、秋の初め、時期を迷っていた貴悠には、決め手になる一言だったのだ……。
「しっかし、いくらなんでも、飛ばし過ぎじゃねぇの?」
友人の言葉に、貴悠はシラッととぼける。
「何が?」
貴悠の返しに、友人は諦めたようで、それ以上は何も言わない。
「どーせ、コイツ、焦り出したんだろ」
「なんで」
「愚問だろ。長谷川さんの教室もうろちょろしだしてんだぞ? 長谷川さん、本当はかなりモテるし、長谷川さん見てる男なんか、結構いるぞ?」
「…………あ、そーいうこと」
「うるさい……」
ボソボソと呟いた貴悠に、友人二人の生温い視線が重なる。
あの夏の日、傷付いていた優卵に手を差し伸べたのが、貴悠だった。あのとき、手を差し伸べたのが貴悠だったからこそ、貴悠の手を優卵は取っただろう。
けれど、貴悠の方は、それだけではもう、納得がいかない。きちんとしたポジションが欲しかった。優卵の隣に立つべき権利が。
「まぁ、頑張れよ?」
「あんまり心配もしてないけどな」
先の笑みとは違い、心から温かな言葉と笑みに、貴悠は黙って、友人二人とグラスを合わせた。
「言われなくてもね」
それに、優しい小雨の梅雨の景色の中、紫陽花の雨の花嫁っていうのも、中々、風情と味があると思いません?
手にした雑誌に想いを馳せていた様子の優卵は、何気なく口にしただけのつもりだったのだろう。
けれど、秋の初め、時期を迷っていた貴悠には、決め手になる一言だったのだ……。
「しっかし、いくらなんでも、飛ばし過ぎじゃねぇの?」
友人の言葉に、貴悠はシラッととぼける。
「何が?」
貴悠の返しに、友人は諦めたようで、それ以上は何も言わない。
「どーせ、コイツ、焦り出したんだろ」
「なんで」
「愚問だろ。長谷川さんの教室もうろちょろしだしてんだぞ? 長谷川さん、本当はかなりモテるし、長谷川さん見てる男なんか、結構いるぞ?」
「…………あ、そーいうこと」
「うるさい……」
ボソボソと呟いた貴悠に、友人二人の生温い視線が重なる。
あの夏の日、傷付いていた優卵に手を差し伸べたのが、貴悠だった。あのとき、手を差し伸べたのが貴悠だったからこそ、貴悠の手を優卵は取っただろう。
けれど、貴悠の方は、それだけではもう、納得がいかない。きちんとしたポジションが欲しかった。優卵の隣に立つべき権利が。
「まぁ、頑張れよ?」
「あんまり心配もしてないけどな」
先の笑みとは違い、心から温かな言葉と笑みに、貴悠は黙って、友人二人とグラスを合わせた。
「言われなくてもね」
後書き
作者:未彩 |
投稿日:2016/01/19 12:56 更新日:2016/01/19 12:56 『人魚姫のお伽話』の著作権は、すべて作者 未彩様に属します。 |
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