作品ID:955
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生死の交わる学校で
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中
前書き・紹介
「一触即発」
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「まだ生きてたの、この死に底ない」
「ええ。しぶとく生きていますよこのくたばりぞこない」
「あんたが言うか」
「言いますよこのあほ女。いい加減死んだらどうですか」
「ふんっ。あたしはどっかのだれかと違って簡単に屈しないもの」
「だったら帰ってくださいよ実家に」
「そうね。あんたが死んだら帰るわ」
「あと当分は死にませんよ」
抗がん剤が終わり、霞夜と駄弁っていると、治療室の扉が開く。椎名が立っていた。霞夜をみるなり、みるみる顔が引きつっていく。そして最初の会話だ。
「なんであんたと天が一緒にいるの」
「関係ないですよ」
「それに同室ってどういうこと? なんでそうなってるの?」
「さぁ?」
「あんた、関与したわね!?」
「してませんよ?」
「質問を質問で返すな!!」
「……なんだよお前」
違う類の頭痛を思いつつ天はそういう。椎名は威嚇を繰り返しながら天をみた。
「あんた、この女に近づいちゃだめよ」
「は?」
「こいつ、最悪だから」
「よくいいますね、椎名。ここは貴方のいるべき部屋じゃありません。メンタルは違う病棟ですよ」
「……正論振りかざせば黙ってるとでも思う?」
「貴方がそこまで馬鹿じゃないなら」
「じゃあ馬鹿でいいわっ」
「先生呼びますよ」
「やってみればいいじゃない!!」
「……なぁ、うるさいんだけど」
天は顔をしかめてそう言った。椎名を見る目が剣呑になっている。
「誰だか覚えてないけど、黙っててくれないか? 今は静かにいたいんだけどさ、っつかマジで勘弁してくれ」
「……天?」
「頼むから、静かにしてくれ。まだこっちはいろいろ残ってんだよ。入って早々いきなりなんだよお前」
「っ」
まさか天に何か言われると思ってもなかったんだろう、顔が驚きで包まれた。
「霞夜。こいつ誰?」
「椎名。岩本椎名ですよ。貴方の知り合いです」
「……さっき聞いた人か。昨日あってるんだっけ? 覚えてないけど……で、なんで霞夜は喧嘩売られてるんだ?」
「いつものことです。お気にせず」
「気になるって」
「……天、あんたね」
わなわなと震える。怒り、悲しみ、そして嫉妬。霞夜と仲良く話してるのがむかついた。天の胸倉をいきなりつかみ、睨んだ。涙目になっているのに気付かない。
「!?」
「椎名っ!!」
霞夜の厳しい声が飛ぶ。
「思い出せっ!! あたしを忘れんな!! 思い出したんなら二度と! すぐに、簡単に、忘れていい記憶なの!? あんたは、いっつもそうよ!! あたしも、こなゆきも、一緒にいたいのに!! そうやってすぐに無くして、あたしたちがどんな気持ち分かってないで!!」
前後にがくがくと揺らし、むせる天に平手一発。ぱしんっ、と乾いた音が病室に響いた。椎名は突き飛ばすように天を話すと、病室を飛び出していった。天は椅子から転げ落ちていた。
「……あの馬鹿は、なんでああいつも……。天、大丈夫ですか?」
「いってて……。なんで椎名の奴、乱暴してくるんだよ。今回は俺が悪かったけどさ……」
叩かれた頬を赤くしながら立ち上がった。理性を取り戻した顔で。
「天?」
「いってえなぁ……。あぁ、もう。あいつは昔っから苦手なんだよな……」
ぶつぶつと文句を言いながら椅子に座り、天井を見上げた。
「霞夜、ごめん。少し混乱してた」
「はい? ……そうですか」
疑問符を浮かべる霞夜だった。
後書き
作者:orchestra army |
投稿日:2012/01/21 15:15 更新日:2012/01/22 10:13 『生死の交わる学校で』の著作権は、すべて作者 orchestra army様に属します。 |
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