8月(夏)に10月号(秋)が出て、内容は入学式(春)。
雑誌ではよくあることです。
単行本と雑誌の違いのひとつに、この「季節感」があります。
単行本ではまったく意識しなかった、「実際の季節とのシンクロ」が雑誌ではあるのです。
これについてはその作品の時間の流れ方にも関係します。
仮に、現実の時間の流れとシンクロしている場合は季節がぐるりと一周すると、年も重ねます。
サザエさん時空では、年は変わらずに季節だけがぐるぐると巡ります。
そして、実際の季節ガン無視の場合が、冒頭のようなタイプ。
時間の流れがゆっくりの作品や、季節が固定の作品もあります。
「どれがいい」というものでもなく、その作品に合っているか、それをどう生かすのかが問題。
一般4コマ誌では、実際の季節とシンクロし、季節感のあるネタが多い印象です。
雑誌でよくある「ゲスト」。
大きく分けると、「ホントに単発のゲスト」の時と、
「兄弟誌で連載している作品をゲストとして呼ぶ」の2つに分かれます。
後者の場合はさらに2つの性質があり、
「人気の雑誌にゲストとして出張して、作品や本連載誌の名前を売る」
「作品が既に有名なので、出張先に読者を誘導して出張先の雑誌を読んでもらう」
の2パターン。
ある時期、ライフ兄弟誌では「晴れのちシンデレラ」が5誌中4誌で読めたことがありました。
本連載に加え、3誌ゲスト。さらに、残る1誌でも度々ゲストとして登場。
そして、この作品は・・・「事前情報無しだと分かりにくい作品」に属します。
その反面、「バラエティに富んだ内容が特色」でもあります。
※なので、単行本で纏めて読むと賑やかな内容ですっごく楽しいです。
単行本向きの作品ですが、雑誌では「読み続けているファン向け」の性質の作品。
そして、既刊4巻の人気作!
人気作を兄弟誌に出演させて、作品のファンにその雑誌を読んでもらう。
そうしてゲスト先の購読者を増やす。多分、その典型例じゃないかと(素人の個人的な憶測です)。
時代と共に流行は移り行くもの。
その影響を過敏に受けるのは雑誌でしょう。流行の最先端を追い続けなければ生きていけない業界。
4コマ誌も当然そうなわけで。
時代の流れと共に掲載されている作風や、雑誌や業界も変遷しています。
きららやもえよん、ぎゅっと!などが乱立していた時代は頭身の低くてコミカルな作品が主流。
萌えの中でも「可愛らしさ」が中心でした。
その後、群雄割拠の末に生き残ったきらら3誌やぱれっとの時代。
やや頭身が伸び、作品の種類そのものもバリエーション豊かに。
画風としても繊細なタッチのものやディテールに拘った作品が増え始めました。
マンガとしての面白さ、ネタやオチまでの流れも磨きがかかっています。
そして、近年はさらに頭身が延び、画力のインフレも凄いことに。
その一方で、ネタよりも「日常」や「空気」を重視する作品が増加。
画力のインフレもあり、良くも悪くも『似た作品』『狙った作品』が増加傾向。
ただ、4コマ誌自体の増加によってバリエーションはさらに広がっています。
特に萌え傾向が強く、メディアミクスとの融合や展開が加速。
それを目玉とした雑誌も創刊されました。
それまでターゲットが違っていた一般4コマ誌にもその影響の波が大きくなっています。
雑誌だけでなく、Webなどの今までと違う作品発表の場も一気にメジャーに。
チャンスが多い一方、競争率も激しく、入れ替えなどの回転も物凄い速さです。
・・・というのが数年4コマにどっぷり浸かった大阪人の感想です。
以前も同じようなつぶやきをしたと思いますが、再確認ということで。
む〜。以前の若手芸人ブームやネタ番組ブームとその後。翻弄された若手芸人さん達とシンクロする気が・・・
4コマ作品と一口に言っても、色々なタイプの作品があります。
その中で、今回の切り口は「単行本向きかどうか」について。
話が溜まれば・・・はい、単行本を出しましょう!
・・・なんてご時勢でもないです。話が溜まっていても単行本が出ないこともよくあります。
単行本化するというだけでも凄いこと。
そんな中、単行本で読むと、「あれ?雑誌で読んだ時と印象が違う」という作品も。
そう、雑誌で他の作品に挟まれて1話だけ読むのと、
その作品オンリーで纏まってい状態で読むのと。
内容が同じでも、それだけでまったく印象が違う作品があります。
特にそれが大きいのが「雑誌の中でスパイス的存在の作品」。
メインにはなり得ないけど、その作品があることで雑誌全体が引き締まるような作品。
単行本になると、その「スパイス」がメインになる。むしろ、スパイスオンリーになる。
そのため、印象が大きく変わっちゃうんですね。
それがよく変わるかそうでないか・・・難しいところですが。
ぱれっとの「ざっちゃん」はその典型例だと思っています。
雑誌の中での特異な存在(萌え系4コマ誌で萌え一切無視の全力コメディ)。
単行本になった時、1冊丸々どこを開いてもそのコメディの雰囲気。
単行本だけ読んだら、それがぱれっと作品だと思わないだろう、ってレベルです。
今日の更新のネタである「○本の住人」もそんな感じです。
作品の表現の場として、紙媒体以外も盛んになってきています。
Webでの発表が増え、自分でサイトを作って発表したり、ブログに載せたりも多いです。
そこから書籍化、というのも一種のブーム。
そして、ニコニコ静画もひとつの作品発表の場所。
これは凄く特殊な場所だと感じています。
というのも、お笑いで言えばライブつまり、お客さんの反応がダイレクトに返ってくるという紙媒体では考えられない環境。
つまり、作品全体だけでなく、どの話のどのコマで読み手がどう感じたのか、
どこがどうウケたのか、どこが悪かったのか。
読者層はある程度限定されますが、そういう生の声を聞くことが出来る場所。
それだけに打たれ弱い人には向かないとは思いますが、ガンガンに攻めたいという人にはうってつけかも。
そういう所で鍛えた感性は、きっとその先も役に立つと思いますし。
あたしもかつて作品をWebで発表して(4コマではないです)、「狙ったんやけどなぁ」というところでまったくウケず、
逆に軽いジャブくらいのところが大ウケして、書き手と読み手の感覚の違いをよく感じました。