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「サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー」を読み始めました。
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サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー
小説の属性:一般小説 / ミステリー / お気軽感想希望 / 初投稿・初心者 / R-18 / 完結
前書き・紹介
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(第3話)洞窟の中でミネ子ちゃんとお手てを握りドキドキ!でもやっぱり絶叫マシーンは怖いヨウ!
前の話 | 目次 | 次の話 |
最後の一段をあがった。赤黒い洞窟を見立てた入口があった。
僕たちは順々に飲み込まれていく。
中は真っ暗でなにも見えない。バランスを崩した。足下にひんやりとしたものを感じる。
その時、背後から
『ダーハハハ。この命知らずめガァ。引き返すのだったら今の内ダァ!』
としゃがれた低い声がしてきた。
ビクン!
真上からとんでもない、壮大なBGMが胸に響いてきた。
目の前にスポットライトが当たった。
炎のように燃えるドラゴンの絶叫マシーンが待ち構えている。
まさに、名前どおりの“レッド・ドラゴン・マウンテン”だった。
ビビッタ。なんだぁ。機械の音声だったのかあ。
胸を撫で下ろす。
学生もOLたちも目を丸くし、飛んだり奇声をあげたりしてた。
係り員に誘導されるがままに、先頭から順々にドラゴンの椅子に座っていく。
僕たちは真ん中より、やや、後ろの席に座ることとなった。
「わぁ!乗っちゃった!すごいドキドキしちゃう!」
ミネ子ちゃんは手を合わせて目を輝かせていた。
「ハハハ。ドキドキするね」
乾いた笑い声になった。
僕は先頭に乗らなくてよかったと思った。
先頭の方が何10倍も怖いと聞いたことがある。
でも、ハァ。大丈夫かなあ。
なんだか気持ちがスッキリしないなあ。
係り員がOK!と手を振って合図をした。
すると僕たちが乗っている背後から、機械音が聞こえ、安全レバーが前に降りてきた。
うわあ……こんなに固定するほど怖い乗り物かヨ。
乗った以上は降りられないけど、今頃になって不安な気持ちでいっぱいになってきた。濡れた両手をズボンで拭く。
白くてしなやかな手が僕の手に重なった。
「み、ミネ子ちゃん?」
ドキン。やわらかくてスベスベした手だ。
赤いライトに照らされたミネ子ちゃんの唇が開いた。
「わたし、コワくなってきちゃった。どうしよう」
彼女は不安な表情を浮かべる。
薄暗い中でこういう状況になると、気持ちが大きくなる。
僕は少しばかりかキザったらしくなってしまった。
「ミネ子ちゃん。大丈夫だよ。
せっかく人気の絶叫マシーンに乗れるんだせ?
僕が隣にいるから大丈夫だよ」
手をギュっと握り返した。
ばかやろう。なんで降りようかとか言わないんだよ。この下心丸出しのカッコつけめ。自分の両頬を殴りたかった。
「うん。うふふ。そうだよね。スケオくんの言うとおりだね。ありがとう」
赤いライトの下で、ミネ子ちゃんの方からしゅるりと指を絡めてきた。
わぁ……ミネ子ちゃん。ドキン。ドキン。
胸が高鳴ってきた。
ヤラシイ手つき。これは恋人の握り方。
この赤い光の下で……グビリ。
ああッ。イケない妄想をまたしてしまった。
ジリジリリリリリ……。
発車ベルが洞窟中けたたましく鳴り響いた。
ガックン。
反動で上半身と首が動いてしまった。
レールに沿ってとうとう僕たちは進み始める。
ミネ子ちゃんは固唾を呑んだまま僕の手を握りしめている。
他の乗客もさっきまであんなにはしゃいでいたのに、水をうったように静まり返っている。
暗い洞窟の中で急斜面になり、体重が腰と背中にのしかかってきた。
ガタゴトとレールに沿ってまっすぐに進みだす。
心臓音がうるさく鳴りたおした。
顔中と腋の下からは汗でビッショリとなってしまっていた。
もう、結構な高さまで上がってしまったのではないか。
周りをキョロキョロしてみてみる。
何も起こらない。まだ進んでいる。
ミネ子ちゃんも眉をひそめ、口を真一文字させていた。
心臓が高鳴ったまま、顔を正面に向けた。
洞窟の出口が見えてきた。わぁ!まぶしい!
その時、先頭の車両から流れ落ちるような叫び声が聞こえてきた。
エッ!? エッ!? なに!? ナニ!?
急に加速し出した。
ガックンとレールの角度が曲がり、僕たちも連れ持って流れ滑り落ちた。
うわぁああああああああああああああああああああああああ!
真っ逆さまにー落ちてデザイアー♪
アホか!唄どころとチャウわ!ぼけ!
隣にいるミネ子ちゃんの叫び声が僕の耳を劈く。
恐怖のあまりに縮み上がった。
ミネ子ちゃんは怖いどころか、ばんざいして笑っている。
自然とお手て繋ぎは解かれていた。
目を固く瞑り、肩のレバーを汗ばんだ手でつかむ。
僕は振り落とされないように頑張った。
レールからはみ出るっ、と思うほど、ガガガと猛スピードで走り抜けていく。
大きく、山、谷、を走り抜け、急カーブに差し掛かると上半身の片側にぶつかったような衝撃を覚える。
僕はひたすら歯を食いしばった。
あはぁ…もう…おわったカナ?
目を少し細めて開けてみた。コレがマチガイだった。
その光景を見て僕は頭から血の気が引いてしまった。
イヤ!ちがう!まだ恐怖はここからだ!
急斜面に突入し、天にまでどんどん昇っていくではないカ!?
真上から悲鳴と歓喜の声が混ざり、流れていった。
それに連れもって、僕たちが乗っている車両も昇っていく。
ひぇええええええええええええええええええええええ…
これこそ正に大車輪に近い。
大きく、ぐるーりと宙返りをして、また元の体勢に戻ってレールの上を走り抜けていった。
あはぁ…目なんか、開けなけりゃ、よかった…。き、きもち、わるい…。
それから後ろ向きで走行し、また宙返りをさせられるハメとなった。
も、もう、どうにでもしてくれ…
身をまかせるしかなかった。
きもち悪い…オェ…。
気がつくと一番最初に乗った洞窟の中でゴールインしてた。
櫛で丁寧に整え固めた髪がボサボサになり、白目を剥いてた。
どうやら僕は気絶をしているようだった。
(つづく)
僕たちは順々に飲み込まれていく。
中は真っ暗でなにも見えない。バランスを崩した。足下にひんやりとしたものを感じる。
その時、背後から
『ダーハハハ。この命知らずめガァ。引き返すのだったら今の内ダァ!』
としゃがれた低い声がしてきた。
ビクン!
真上からとんでもない、壮大なBGMが胸に響いてきた。
目の前にスポットライトが当たった。
炎のように燃えるドラゴンの絶叫マシーンが待ち構えている。
まさに、名前どおりの“レッド・ドラゴン・マウンテン”だった。
ビビッタ。なんだぁ。機械の音声だったのかあ。
胸を撫で下ろす。
学生もOLたちも目を丸くし、飛んだり奇声をあげたりしてた。
係り員に誘導されるがままに、先頭から順々にドラゴンの椅子に座っていく。
僕たちは真ん中より、やや、後ろの席に座ることとなった。
「わぁ!乗っちゃった!すごいドキドキしちゃう!」
ミネ子ちゃんは手を合わせて目を輝かせていた。
「ハハハ。ドキドキするね」
乾いた笑い声になった。
僕は先頭に乗らなくてよかったと思った。
先頭の方が何10倍も怖いと聞いたことがある。
でも、ハァ。大丈夫かなあ。
なんだか気持ちがスッキリしないなあ。
係り員がOK!と手を振って合図をした。
すると僕たちが乗っている背後から、機械音が聞こえ、安全レバーが前に降りてきた。
うわあ……こんなに固定するほど怖い乗り物かヨ。
乗った以上は降りられないけど、今頃になって不安な気持ちでいっぱいになってきた。濡れた両手をズボンで拭く。
白くてしなやかな手が僕の手に重なった。
「み、ミネ子ちゃん?」
ドキン。やわらかくてスベスベした手だ。
赤いライトに照らされたミネ子ちゃんの唇が開いた。
「わたし、コワくなってきちゃった。どうしよう」
彼女は不安な表情を浮かべる。
薄暗い中でこういう状況になると、気持ちが大きくなる。
僕は少しばかりかキザったらしくなってしまった。
「ミネ子ちゃん。大丈夫だよ。
せっかく人気の絶叫マシーンに乗れるんだせ?
僕が隣にいるから大丈夫だよ」
手をギュっと握り返した。
ばかやろう。なんで降りようかとか言わないんだよ。この下心丸出しのカッコつけめ。自分の両頬を殴りたかった。
「うん。うふふ。そうだよね。スケオくんの言うとおりだね。ありがとう」
赤いライトの下で、ミネ子ちゃんの方からしゅるりと指を絡めてきた。
わぁ……ミネ子ちゃん。ドキン。ドキン。
胸が高鳴ってきた。
ヤラシイ手つき。これは恋人の握り方。
この赤い光の下で……グビリ。
ああッ。イケない妄想をまたしてしまった。
ジリジリリリリリ……。
発車ベルが洞窟中けたたましく鳴り響いた。
ガックン。
反動で上半身と首が動いてしまった。
レールに沿ってとうとう僕たちは進み始める。
ミネ子ちゃんは固唾を呑んだまま僕の手を握りしめている。
他の乗客もさっきまであんなにはしゃいでいたのに、水をうったように静まり返っている。
暗い洞窟の中で急斜面になり、体重が腰と背中にのしかかってきた。
ガタゴトとレールに沿ってまっすぐに進みだす。
心臓音がうるさく鳴りたおした。
顔中と腋の下からは汗でビッショリとなってしまっていた。
もう、結構な高さまで上がってしまったのではないか。
周りをキョロキョロしてみてみる。
何も起こらない。まだ進んでいる。
ミネ子ちゃんも眉をひそめ、口を真一文字させていた。
心臓が高鳴ったまま、顔を正面に向けた。
洞窟の出口が見えてきた。わぁ!まぶしい!
その時、先頭の車両から流れ落ちるような叫び声が聞こえてきた。
エッ!? エッ!? なに!? ナニ!?
急に加速し出した。
ガックンとレールの角度が曲がり、僕たちも連れ持って流れ滑り落ちた。
うわぁああああああああああああああああああああああああ!
真っ逆さまにー落ちてデザイアー♪
アホか!唄どころとチャウわ!ぼけ!
隣にいるミネ子ちゃんの叫び声が僕の耳を劈く。
恐怖のあまりに縮み上がった。
ミネ子ちゃんは怖いどころか、ばんざいして笑っている。
自然とお手て繋ぎは解かれていた。
目を固く瞑り、肩のレバーを汗ばんだ手でつかむ。
僕は振り落とされないように頑張った。
レールからはみ出るっ、と思うほど、ガガガと猛スピードで走り抜けていく。
大きく、山、谷、を走り抜け、急カーブに差し掛かると上半身の片側にぶつかったような衝撃を覚える。
僕はひたすら歯を食いしばった。
あはぁ…もう…おわったカナ?
目を少し細めて開けてみた。コレがマチガイだった。
その光景を見て僕は頭から血の気が引いてしまった。
イヤ!ちがう!まだ恐怖はここからだ!
急斜面に突入し、天にまでどんどん昇っていくではないカ!?
真上から悲鳴と歓喜の声が混ざり、流れていった。
それに連れもって、僕たちが乗っている車両も昇っていく。
ひぇええええええええええええええええええええええ…
これこそ正に大車輪に近い。
大きく、ぐるーりと宙返りをして、また元の体勢に戻ってレールの上を走り抜けていった。
あはぁ…目なんか、開けなけりゃ、よかった…。き、きもち、わるい…。
それから後ろ向きで走行し、また宙返りをさせられるハメとなった。
も、もう、どうにでもしてくれ…
身をまかせるしかなかった。
きもち悪い…オェ…。
気がつくと一番最初に乗った洞窟の中でゴールインしてた。
櫛で丁寧に整え固めた髪がボサボサになり、白目を剥いてた。
どうやら僕は気絶をしているようだった。
(つづく)
後書き
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作者:白河甚平 |
投稿日:2019/12/23 16:01 更新日:2019/12/31 16:37 『サラリーマン、スケオくんのちょっと色っぽいミステリー』の著作権は、すべて作者 白河甚平様に属します。 |
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