（このままじゃ囲まれる・・・）

そう思いつつ私は目前に迫ってくる海賊を倒していったわ。

「これじゃあ相手の思うツボよ。囲まれちゃうわ。」

「もう少し待ってろ。」

そういうとヴァニスはさらに敵を倒していったわ。

「そろそろか・・・」

彼は小声でなにか言ったようだけど、私には聞こえなかったわ。

「ずいぶんと派手にやってくれるじゃねぇか。」

「あ、アニキ・・・」

どうやらアイツがこの海賊の親玉みたいね。

（ってことはアイツを倒せばこの戦いは終わる・・・！）

そう思って突っ込もうとした瞬間、

「久しぶりだな。」

ヴァニスはそう言ったわ。

「え？何？あなた知ってるの？」

私がそう尋ねると

「ま、まさか、ヴァニス、か？」

海賊の親玉と思われる彼は、ヴァニスを知ってるらしいわね。

「やはりお前がやってたんだな、ライザ。」

「どうしてお前がこんなところに？」

「そこのお嬢さんと旅をしててな、でどうしてもここを通らなきゃいけなかったわけだ。」

「あ、アニキ、知り合いなんですか？」

「ああ、3年前にもなるか。俺が目的もなくある街についたころ出会ったんだ。」

「え？それだけで？」

つい口を挟んでしまったわ。

「ああ、コイツが声をかけてくれてな、一時、国軍に入ってたこともある。」

「それがどうしてこうなってしまったわけ？」

「やれやれ、質問の多いお嬢さんだ。まあ、コイツが街を出ると言った時に俺もついて行こうといったんんだがな。」

「おい、いい加減コイツっていうのはやめろ。」

「はいはいっと。ま、そのとき来なくていいっていうぇあれたわけだがな。」

「なんか、関係なくない？」

「いいや、あるんだわ、これが。そのあと俺がついた場所は海賊の出入りが多い洞窟でな。偶然出会ってしまったんだよ。」

「それで？そのまま仲間いりして今に至ると？」

「察しがいいな。まさにそのとおりだ。ところでヴァニス、どうして俺が海賊をやってるって知ったんだ？」

「前に噂になってたんだよ。妙に槍が上手く、赤褐色の髪をした海賊がいるってな。」

「そりゃ俺だわな。」

なんとなく関係が分かったけど、この後どうすればいいのかしら。

「で、お前はどうするんだ？まだ海賊をやるつもりか？」

「それもいいんだがな。」

そういうとライザはおもむろに取り出した袋を、彼で言う「仲間」に向かって投げたわ。

「その金でお前等はそれぞれの道を行け。俺とはここでお別れだ。」

「え、アニキはどうするんです？」

「俺はこいつ等について行くさ。」

「いいの？まだ2人だってのに。」

そう私が言うと

「構わねぇよ。元々それなりに金が集まったら一度分かれるつもりだったしな。あいお前等、この船を使え。」

「分かりやした。アニキ、達者で。」

「ああ、お前等もな。」

そう言ってさらに一人増えた仲間と、その手下（手下でいいのかしら？）は別れていったわ。

（それぞれの道、かぁ・・・）