作品ID:780
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欠片の謳 本当の欠片の謳
小説の属性:一般小説 / 未選択 / 感想希望 / 初級者 / 年齢制限なし / 休載中
前書き・紹介
二人の幸せの謳
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「おーい、眞由? 飯出来たぞ??」
「分かった了解?!」
台所で夕飯を作り終えた拓也は眞由を呼ぶ。彼女は多分庭で野菜の手入れをしていたんだろうと推測。彼女は最近家庭菜園なんて始めた。拓也にとっては嬉しいこと。彼女がこうやって色々なことのチャレンジするのは『野良』離れしている証拠だから。
「おなかすいた?」
ボブカットを揺らしながら黒いつなぎを来た彼女が台所にやってきた。そのまま机に座る。夕飯はカレーだ。いい匂いが空間いっぱいに広がっている。眞由はすぐさま反応した。
「拓也君、今晩はカレーだね?」
「ご名答。眞由の好きなじゃが芋と鶏肉のカレーです。言っとくけど普段より辛めな」
「え?! あたし辛口だめなのに?」
「わがままは一切却下」
「ひどい! 拓也君がいじめる?」
「人聞きの悪いこと言うな!」
などと冗談を交えてカレーを器に盛っていく。慣れた手つき。さすがに長年自炊をしているだけあり早く的確だ。眞由はその風景を目を輝かせながら見つめる。早くご馳走を食べたい、と目が言っている。
「はい。山盛りな」
「わーい!」
嬉しそうに眞由の反応に拓也の顔はだらしなくゆるむ。こんな反応をされる度彼は嬉しくなる。純粋に美味しいと言ってくれるのは料理人にとっては最高の褒め言葉だ。いただきますと言う前からもう食べ始める。
「眞由、しっかり挨拶くらいしろ」
「ふぁ?い」
返事を適当にして物凄い速さで食べるのを再開。自分の更に盛り付ける頃には。
「拓也君おかわりちょうだい!」
「早! お前辛口苦手じゃないのか!?」
「慣れた」
「どんな適応力だお前は!?」
「食に関してはあたしは適応能力は半端ないよ!」
「っつか今ので二人前はあったぞおい!」
「足りないよ! もっと頂戴!」
「そこまで食ってくれてありがとうな」「食べたい食べたい食べたい早く早く早くぅ!」
「駄々っ子かお前は!」
「はぁぁぁぁやぁぁぁぁぁくぅぅぅぅぅ!!!」
「分かった分かった」
スプーンを口に銜えたまま眞由の要求を速やかに遂行。5合ほど炊いたお米は最早半分ない。何という速さで平らげるのか。先程より更に山盛りにして、移動させるのが重たいくらいにして彼女に渡した。まるで富士山のような存在感。カレーのルーが少し足りなくなりそう…。
「いっただきまう!」
「食うか喋るかどっちかに……」
と言おうとして振り返った拓也の顔が凍りつく。おかしい、ほんの10秒前には富士山のような存在感のあったカレーが。カレーが。カレーがもう半分近くなくなっている!? これは一体どういうことだ!?
「……」
悪い悪夢だと思って拓也は汚れた器具を流し台にぶち込んだ。そして振り返る。凍る。
「……おい」
「ごちそーさま!」
半分すらなくなっていた。消失。消えていた。何故か、あれだけあったコメの山が、完全に消えている! 拓也はあまりの非現実に眩暈さえ覚えた。いつも以上に、特に好物になると眞由の食欲は止まらない。底なし沼のように、カビゴンよろしく食い続ける。
「今日もご飯美味しかったよ拓也君! ごちそうさま! 明日もよろしくね!」
「……おぅ。明日は何が食いたい?」
「焼きそば!」
「分かった。作るの手伝えよ?」
「うん」
屈託の無い笑顔、純粋な感謝の言葉。これが拓也にとって一番嬉しいもの。苦笑しつつ片付けに入る彼女を尻目に自分も食べ始めるのであった。
後書き
作者:FreeSpace |
投稿日:2011/06/21 14:54 更新日:2011/06/21 14:54 『欠片の謳 本当の欠片の謳』の著作権は、すべて作者 FreeSpace様に属します。 |
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