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信長の忍び - 7巻


前巻に引き続き歴史の大きなうねりが信長を襲います。
彼の人生において最も厳しい時期でしょう。
歴史好きの方なら彼がこの時期どういう状況だったのかはご存じでしょうが、ついに「信長包囲網」が完成します。
そして、歴史的事件にして彼が『魔王』と呼ばれる最も大きな所以であろう「比叡山焼き討ち」。
これにより、彼の名は全国にさらに広がると共に、歴史に「残虐性のイメージ」が残る事に。
別の方の作品「殿といっしょ」では「信長=すぐに焼きたがる」というキャラ付けにもなっています。
正直、信長を好意的に描く本作でこの事件をどう描くのか。気になっていました。
人間味や温かみのある姿を描くのが重野なおき先生の作品での信長。
ですが、実際の信長が行った事は当然戦国の世。我々からすると戦慄するものもあります。
その代表とも言えるのがこの事件。
先生がどのようにこの一件を描かれているのかは是非とも単行本でご確認下さい。
千鳥という存在がこれについて非常に大きな役割を果たします。
これ以降の信長の人生ではこういった彼の残虐性やこれまでレギュラーとも言える出番の多さを誇ったキャラクター達の死が幾つも描かれることになっていくと思います。
これらがどのように描かれるのか、再び注目していきたいです。

物語自体は6巻のラストからの続き、秀吉の箕浦の戦いからスタート。
圧倒的不利な状況をどうひっくり返すのか?
秀吉は大きな局面で必ず戦果を上げ、それが彼の破竹の勢いとも言える出世に繋がっています。
そして、彼の片腕であり暴走を止める役割だったのが弟の秀長(実際、彼が死んでからの秀吉の暴走っぷりは有名)。
そしてもう片腕が天才軍師・竹中半兵衛。
この戦いでは3人の奮闘 + 千鳥たちの活躍がカギとなります。
歴史的に見るとスッと飛ばされそうな事件ですが、二千対一万。主君である信長の桶狭間の戦い同様に圧倒的数の不利をひっくり返した戦いです。
勝てると踏んでいたであろう浅井軍としては手痛い敗北。
彼も信長とは縁が深く、本作での登場が多いです。
そして、朝倉に龍興。信長包囲網の武将達がこの7巻でも動きを見せます。
そしてそして・・・あの松永久秀が・・・
部下に対して厳しい信長がなぜか彼には甘い対応。なんだかんだで歴史的にやっている事では似た者同士だから?
おまけにあの日本最強の武田軍が動き出します。
もしかすると天下を取ったのは彼だったかもしれない・・・
そう考えてもおかしくない戦国最強軍団。
ただ・・・信長 V.S. 武田となるとやっぱりあの作品を思い出しますよね?
8巻では信長軍・徳川軍・武田軍の大激突だ!

この7巻では千鳥という存在が非常に大きな役割を果たします。
ただ過去に起きた事をそのまま描くのではなく、オリジナルのキャラクターを入れることで漫画としての面白さを増幅して、それでも史実通りに描く。
加えて「忍びの目から見た」という歴史を外側から見るという視点の役割もあります。
この7巻。非常に重い内容が多いため、彼女の役割は作品として非常に大きなものです。

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