素敵な霊障ライフはスタートから全速力!
まだこの頃は主人公の太一の「霊を怖がる」という様子が強く出ている頃。
話が進むにつれ、「霊ではなく妖怪や物の怪の類」がメインになってくるとその設定が薄くなりますが、初期は霊も多く登場するため、太一のリアクションも大きなものでした。
2巻になると「以前登場したことのある人(?)たちの再登場」も多いですしね。
そして、心があったかくなるエピソード満載なのは初期から変わらず♪
「レーカン!」同様、「あの世とこの世を繋ぐ」というエピソードの数々は「ただ面白い」という枠を超えます。
ただ、この作品は「レーカン!」よりもコメディ寄りです。
登場するのも妖精や不思議生物などが多く、見た目も愛らしいのが中心。
似たテーマである2作品ですが、やはり異なる点も多いです。
賑やかなキャラクター達。その中心となるのは人間の皆さん。
不思議生物や霊の皆さんは基本的に1話限定のゲストさんです。
そのため、人間再度の関係性さえ分かっていればどこからでも読めるという特徴もあります。
そして、その人間サイドに関しては第1話の時点でほぼ固まっています。
主人公の太一にその家族。そしてクラスメイトでオカルトマニアの草間君に霊感ゼロの肉食系女性の十子ちゃん。
唯一レギュラーで幽霊なのは小町おばあちゃんのみです。
第1話の時点ですでに全員が登場しています。
その後、小町おばあちゃんと十子ちゃんが意気投合したり、草間君のオカルトマニアっぷりがたびたび発揮されたり。
しっかりと基本となる形が構築されていきます。
その中で、太一や草間君の優しさや十子ちゃんの乙女っぷりが描かれるエピソードが幾つもあります。
個人的にこの1巻で好きなのは「カッパ」のエピソード(1巻P71〜)。
カッパたちの友情もなんですが、それに気づくことのできる草間君や十子ちゃん。
このエピソードで「ホンマええ子たちやぁ!」と確信しました。
友人を大切に思い、その心を本当に気遣うことができる。「その友情に気づくことができる」っていうのはその人も本当に友達を大切に出来る人だから。
それ以外にもキャラの濃いところはあるんですが、このエピソード以降「他人を思いやれる子たち」というイメージの方が圧倒的に強くなりました。
や、その他の「オカルトマニア」や「肉食系女子」のキャラも結構濃いんですけどね。それ以上にってことです。
そして、もう1つ好きなのは「ランドセル」のお話(1巻P99〜)。
私も物を作る仕事をしている人間。製品に愛着を感じることは自然なことです。
彼らもまた、同じように色々な事を感じていてくれたら、それはきっと素敵なことだなと思います。
そして、彼らが出会う主達が、彼らの事を好きになって、沢山の愛情を込めてくれますように。
この作品を読むと、そんな優しい気持ちになります。
「面白い作品」というのは数ありますが、こうやって心に大切な何かを残して行ってくれる作品に出会えるというのは本当に貴重。
このレビューを読んで、この作品を手にして、私と同じような気持ちになれる方が一人でもいて下さったら嬉しいです。