酸素計画

日記など雑多な文章

日記未満のことを書きます。

映画『シャドウズ』の感想です。

【注意】
・作品の内容に触れています。
これは感想です。レビューではありません。
#鑑賞記録




・遺体の損壊具合が以外と控えめで、死因は頭部への打撲あたり?と思っていたら合っていてよかったです。(よかったか?)

・もらったトロフィーが犯人にとっては自分の尊厳で、認めてほしかったというか、「社会的に穏やかで、優しさに秀でたまともな人間です。」という支えになっていたのかもしれない……と思いました。

・精神科医の治療の場面を見て、次の可能性を考えました。
①主人公がいわゆるチャネラーで、超常現象あるいは特異的な能力で相手のことを通常の人間が見聞きできる情報以外を把握しており、主人公がその情報から想像したものを映像として表現している。

②主人公の能力が優れており、見聞きした情報から通常の人間が知り得ないことまで推測可能である。かつ、主人公の想像を映像として表現している。

③主人公が患者から見聞きした情報を映像として表現している。

ここから、超能力やエスパーものなのか、現実的な捜査で犯人を追い詰めるもののどちら寄りになるのかと思いながら見ていました。
序盤で比較的現実寄りの物語(現実寄りというのは、超能力が信じられるほど超能力者が社会で認知されておらず、警察が犯人を逮捕するには物的証拠や現行犯での逮捕が必要という意です。)だと分かりますが、もう少し早めに分かるとごちゃごちゃ考えずに済むので早めに提示してほしかった気もします。

・DVをしている妻を診察に連れて行くのは、自分がDVしているのがばれない自信と、自分が妻に対して優しいと示すための行動なのかなと思いました。

・病院で煙草を吸うな!!!!火のついた煙草を捨てるな!!!!危ないだろ。
それはともかくフィリップ・キョンさんがかっこいい〜!!!と思いつつ、この作品は生き残りますか?と不安になりながら見ました。

・ホー刑事の鞄の受け取り方に(そんなに俺を信頼していいのか……)と感じているのかなと思いました。鞄を預ける=大事なものが入っているものを預ける=信頼している(=そんなに俺を信頼していいのか?)、が私の中で成り立って好きな場面です。

・あとホー刑事が通路のベッドに文句を言いながら運ぶのを手伝っていて「口が悪いだけでいいところはいい人なんだな」と分かるところが好きです。

・家族を殺すくらいなら離婚とか、別居した方がいいですよ……(離婚や別居をしてすべて解決するわけではないため、殺害を選んだのでは?)

・人の頭を殴る音が鋭くてよかったです。硬そうなものを殴っている嫌な音で、心が穏やかになります。
(ホラー映画が好きなため、人体が破壊される音が好きです。フィクションに限りますが。)

・家族を殺す=自殺するべき、は成立しないだろ!!!!!それは犯人の中での評価や判断であり、本当は死にたくなかったのでは?と思います。
自殺しようとした、自殺を選ぶくらいに反省しているという体裁だけ作っておいて、本当は死ぬのが怖かったのでは?そもそも警察に通報したのも、何かに助けてほしかったとか、逃げるほど体力がなく考える力もなかったのか?など考えてしまいます。

・しかし、人間の行動(結果)から脳内の思考を特定しようとしても、やれることは人間の脳というブラックボックスに対して入力(パラメータ。事件当時の環境や生い立ち、本人の傾向などなど)をできうる限り特定し、出力結果に至る過程を推測することだけであり、本人も何を考えているのか(そもそも、人は本当に何かを考えているのか?無意識に行動を先に選んでおり、あとから理由や動機を探して自分の行動に対して辻褄を合わせているだけでは?)すら分かっていないのでは?などと思いました。
つまり、人間(あるいは、動物)の行動に大した理由は実はなく、ある振りをしているだけなのでは?と私は考えています。

・この殺人犯は、「家族はこうあるべき」「自分はこうしたから、こういう評価や見返りがあるべき」みたいな価値観に自縄自縛されて負荷をかけた結果、自分のいる環境を破壊せざるを得ないところまで追い詰められたのかなと思います。
制約がきつすぎて身動きが取れなくなった念能力者みたいだな……と思いました。(『HUNTERXHUNTER』の誓約と制約の話をすぐ出すオタク。)

・娘さんを迎えに行ってくれる同僚と、娘さんのめちゃくちゃかわいくも大人びていて率直な誘い文句に、めちゃくちゃ焦るお父さんのやり取りが最高です!!!!!もっと見せてください。こういうスリラー映画だと癒やしなので……
(主人公の首を見るのってまさかキスの跡を探している……!?となってドキドキしました。)

・対談のところで善悪を語っていますが、そもそも善悪の定義からしないとな……と思って見ていました。
善悪など都合よく各社会や各集団で解釈して運用しているに過ぎず、常に変わる概念のため、その場での定義くらい決めないと話し合いすらできないと思うので。

・ここで犯人らしき医師の「会ったことがあるのでは?」のフラグがいまいち分からないな〜とぼんやり見ていました。(犯人らしきとしているのは、主人公や物語の導線からは犯人と判断される要素が強いが、客観的にどうだったのか、本当に医師に殺人教唆をした自覚等があったのかが不明なためです。)

・老人に対しての殺害を見て、「『悪魔のいけにえ』みたいだな」と思いました。
生きたまま皮を剥いでやっていると個人的には「ホラー映画だ!!!」と嬉しくなりますが、作業的に殺害→人体損壊の流れだろうなと思いました。
(犯人にとっては意味があることかもしれませんが、傍から見たら人体損壊以外に何も言えないなと思いました。)

・犯人らしき医師の「人は身勝手だ」「心の闇を受け入れろ」で、はあ、そうですか……と思いました。
身勝手と心の闇の定義をお願いしますとしか言いようがないので……
人は身勝手という言葉はどれだけ身勝手という語句に幅を持たせるかで変わってくるのですが、極端に言えば人が人と関わろうとする時点で「他者への干渉は身勝手だ」と言い張れてしまうので。
別に人は身勝手でもいいのですが、合法かつ公共の福祉を妨げない範囲で、がつくのでは……?

あと心の闇ってなんですか?
私がタンクトップに上着を合わせて着ている人がアクションしたときに、上着がめくれて脇が見えたとき「うおおおお!!!!えっ、何で私はここでテンションが上がるんですか?!??!!!キモ…………」になることですか?
(他者の外見で勝手にテンションを上げるのは私にとっては気持ち悪い行為なので、私の中では闇というか、表に出してはいけない嗜好だ……と思います。)
心の闇とかいう社会的に受け入れられにくい感情などは、自覚してどのあたりが社会的に問題なのか、自分はどう扱いたいのかをカウンセリングして合法かつ公共の福祉を妨げない範囲で付き合っていくのがいいのでは……?

・伊藤計劃『ハーモニー』で書かれている人間の思考を思い出しながら見ました。
犯人らしき医師は患者の欲望に対する評価を変えてやって、犯行に対する抵抗を減らして犯行に至らせていると思いました。想像ですが。
教唆というか、犯人の思考の偏らせ方(=報酬系の評価値)に言葉で影響を与えて、押し留めていた殺人などの評価を高くさせてやる可能性を高めているのかなと思いました。

・患者の特定をするところはドキドキハラハラして楽しかったです。
それにしても、警察にSNSを特定されるのは絶対嫌だなと思いました。私の場合、キモオタということがばれるので。

・SNSをしていない人物が怪しいのでは?というところの説明があまりなかったので想像してみますが、SNSをしていない=診察後に患者が変わったとSNSを介して分かりにくい=犯罪教唆をしているのがばれにくい、みたいな感じで唆す患者を見定めていたのかなと思いました。説明してください……

・このおばあさんは助かるのでは……!?と思っていたので、辛かったです。

・老人を殺害していた犯人の部屋に、なるほど悪魔信仰ではなさそう!と思いました。(悪魔信仰でなくても、人が思考に偏りを持つと極端な行動に出るため、悪魔信仰のための生贄ではなく救いの意味合いなのかな?と思いました。)

・老人殺害については、ALS患者嘱託殺人事件や安楽死、がん末期患者への大麻利用などを思い出しました。
しかし、まだ人類にとって安楽死の運用は難しいのでは?(人類にとって運用が簡単なものがあるのか?と言われるとない気がしますが……)と思いました。
これについては本当に難しいのですが、それでも犯人のやったことは同意のない殺人のため、だめだろ……としか言いようがありませんが。あと人体損壊はしなくていいので。

・ただ、おばあさんが抵抗したときに犯人が怒っていないところに「へえ……やるな……覚悟がなくはないな」と思いました。こういう犯人は反撃されて自分の善意が分かってもらえていないと認識すると、激昂して怒りを露わにすることが多いと思っているので。

・老人殺害犯人の内面のところの映像表現が美しくて好きです。
でも、救世主って何……?それは犯人がなりたいだけでは?となって引きました。
(私は他人に〇〇してあげたいとか無意識に言ってしまえる人や、救世主になりたいとか言う人を信頼していないうえ、そういった考えを上から目線で嫌だと思います。)

・主人公の能力はテレパシーとか、深層心理での対話?みたいなものなのかなと思いました。

・主人公の能力がホー刑事に伝わるところで、「娘が実子ではないのでは?」があまりフラグ回収されなくて結局なんだったんだ?になったので意味深な作りにした割に効果が薄いなと思いました。
(学芸会のところで助けるところに、血がつながってないのにこんなに助けようとするんだ!と娘を助けようとしている父親に感動しているところで、さらに感動しようすればできますが、あの切羽詰まった緊張する場面で思考にわざわざそんなワンクッションを入れて、自分の感じる感情にバフをかける鑑賞者がいるのか?と言われると微妙な気がします。原作に忠実に作っただけかもしれませんが。私は一応いれておくかで入れますが……こういう手間をさせずに感情を動かしてくれとも少し思います。なんで見る側があえて感情を動かす手間や努力が必要なんですか?とも思うので。)

・あと主人公の海馬を圧迫している腫瘍のあたりもフラグ回収がいまいちで、結局何だったんだ?と思います。
特殊な能力の原因であること、それが主人公の幼少期につながることは推測できますが、物語の導線やフラグの回収が薄くて分かりにくい気がします。

・娘さんの学芸会に行ってほしいし、パンダ役の娘さんとか絶対に見に行った方がいいですよ!こんなのは一度きりなんですよ……!と思いました。(誰目線の感想?)

・詰められている先生を見てめちゃくちゃ大変だな……と思いました。
先生役がベイビー・ジョンさんだったので、「かっこいいのでこう……お手柔らかに……いや、だめか……教育は大事だからな……」と思いました。

・先生のシャツ、アーガイルのベスト、ネクタイ、眼鏡が似合いすぎていて最高でした。かっこいいし、美しいし、どこかかわいげもあって最高!!!!
(しかし、モブ役でベイビー・ジョンさん?となり、たぶん学校で何かしら大変なことが起こるな……と予想していました。どういう予想?)

・捜査令状がちゃんと出てくる香港映画?!あまり見ないな(私がアクション映画を見すぎなため。香港アクション映画は礼状とか証拠とか抜きに、とにかく殴ってアクションが発生して、その後は不問みたいな展開が多い気がしています。)……と思っていたら、偽造文書で笑ってしまいました。

・上司の「これ以上は守ってやれない」というセリフに、ホー刑事が優秀で、ある程度は人望があって守ってくれていたんだ……というのが分かって好きです。
信頼や実績がない無能な人は、だめなことを一度でもやった時点で大っぴらに報告されて左遷か停職などの処分にさせると思うので。(陰湿な想像やめろ。)

・停職になったことで、娘さんの学芸会に行けるのが皮肉すぎて辛くなりました。

・クローディアさんはいったい何なんだ……?と思いました。犯人らしき医師への疑いを確実にさせるためか?それにしては唐突だし、回収されたフラグがぱっと思い浮かばないため、主人公を動かして足止めをしたかった?など考えました。
クローディアさんはもう少し話して、こう……あの……物語の導線を示してほしかったです。(リアリティや共感を無視して、物語や脚本の一部として割り切って見るのをやめろ。)

・先生が子どもの目の前で親を殺害するのって……教育に悪くないですか?
(本当はこの先生が親に復讐したかったのか?など想像してしまいます。)

・拳銃をどこで入手したんですか?

・あと先生の水色のベストがかっこよくて笑顔になりました。肌がきれいだし、睫毛が長くてかっこいいです……!!!!

・しかし、拳銃である程度距離がある相手に圧倒的有利に立てる状況なのに、あえて相手に近くに来いとか何を言っているんだ?と思いました。
刑事だと分かっているなら距離を詰められる前にさっさと撃って、他の親も殺した方が効率がよくないですか?

・あの……娘の命がかかっている極限状態で、娘の命が最優先にできる人間を求めるな!!!!
デスゲームを「極限状態になった人間こそ本性を見せる」とか言って主催するやつか?
本性ってなんだよ!!!人の入出力は常に曖昧!!!!なんで予想外の入力に対して、意図した出力が理想通りに出ると思っているんですか?プログラムだと普通にエラーで落ちますけど……?

・犯人らしき医師が主人公の父親を召喚!!!
マジで、なんで……?

・主人公の父親を使っていいことがあるか?と本当に疑問です。
犯人らしき医師にとって次のことが目的だったのか?と推測してみますが……
①過去に主人公と何かしらがあり、「人間は身勝手だ」という考えに偏る。それを証明?するために主人公へバトル(深層心理への影響力の強さの戦い?)を挑んだ。

②主人公の動き次第で逮捕されるのはさすがにデメリットが大きいので、父親との確執が理由で主人公に何かしら事件を起こさせて、自分の追及の手をとめようとした。(失敗したときのデメリットが大きすぎる。そもそも娘である主人公が望んでいない、同意が取れていないのに、親に会わせてPTSDの治療をするとか勝手にやるのが危なすぎる。行政などで親子でも虐待で会わせないようにしていた、といった対応がされていた場合、医者として信頼を失うがやるか?という疑問が強い。)

③悪意なく主人公の助けになりたかった。
今までの犯行をした患者についても善意。

④主人公に何かしらの問題があり、それを解決しようとした。
(実は主人公側が悪い立場でしたといったような、どんでん返しの展開。)

・父親の身勝手さというか、虐待とか暴力を振るう人間の都合のよさってすごい!!!!と感動しました。
モラハラとDVの場面があると辛いですが。

・主人公は父親と会わない方がいいですよ……本当に……と思いました。会わなくても生きていけるなら会わないと決めて縁を切ってください。
切れないのにとか言っていても、自分が冷たい子どもだとか、責任を放棄していると勝手に罵られたり、他人の噂話として娯楽になるくらいなら、さっさと縁を切りましょう!!!
(別に子どもが親を助けなければならないわけでもなく、社会規範がそれを勝手に美徳としているだけなので。私だったら、会わないと決めたら連絡先を削除して、いろいろ変えて本当に会いません。)

・父親が暴力を振るった時点で警察を呼んだら勝てる!!!と思いました。
(医師が捕まるかはともかく、過去に虐待などがあった親子を合わせてトラブルに発展させたとして評判を落とせるのは確実なので。今ならSNSで炎上を狙うのもいけそうです。父親は罪状がつく可能性があるためこのまま縁を切れそうでいいです。)

・幼い主人公のカウンセリングをしている場面の解釈で、結末の解釈も分かれそうだな……と思いました。

・物語の導線が少し曖昧な(あるいは、私が何も考えずに見ているために物語を適切に読み取れていない)ため、結末について少し考えます。

①犯人らしき医師が計画したようにすべてが行われた。
→たぶん、なさそう。それなら、やられた……と主人公やホー刑事に言わせる、そう匂わせる場面を入れて、敗北を示せばいいため。この場合、主人公の最後のセリフがミスリードすぎる。
あと、犯人らしき医師が計画した通りになったとしてもメリットがなさすぎて、「何でこんな計画を……?」になるため。

②主人公の思惑通りになった。
→どこからが主人公の思惑によるのか?にもよるが、最後に取り調べされている主人公の「(ホー刑事の質問に対し)どっちだと思う?」という答えは、主人公が何かしらやっていましたという匂わせであり、映画の後味を悪くして「え?まさか……」と思わせる結末としては納得がいく。
個人的には、次のどちらかは主人公が意図したのか……?と思いました。
・最後に父親が亡くなる場面。
周りから見れば主人公自身が父親を殺したわけではなく、主人公に武器を持たせて父親が自殺した形ではあるが、主人公は殺したかった(と思われる)父親の殺害に成功している。
罪は父親と主人公を会わせた医師にあると主張も可能で、主人公のメリットが大きいと解釈ができるため。

・最後に父親を殺害するために、すべてを仕込んだ。
主人公が子どもの頃のカウンセリングをしたのが、犯人らしき医師だった場合、主人公と犯人らしき医師の過去には何かしらがあったと推測できる。その過去の因果から犯人らしき医師が殺人教唆を行う事件を発生させるも、結局は主人公によって都合よく利用されてしまうという流れを考えた。
この場合、物語のどこかでもう少し主人公が狙ってやっています、と示されてもいい気がするため、この想像は考えすぎだと思います。

畳む

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