酸素計画

日記など雑多な文章

日記未満のことを書きます。

『コロニアの子どもたち』鑑賞記録
#鑑賞記録

実際にあった事件をもとにしている作品ですが、子どもへの性的虐待、大人にも性的暴行をする描写があるうえに大人から子どもへの「コミュニティの信条に反する者であれば、罰するという名目で暴力を振るってもいい」という思考が描かれており苦しかったです。
最後に、コロニアが2010年まで指導者が亡くなるまで存続したこと、それ以降は観光地として歴史を伝えることで被害者への贖罪を続けている旨が説明されますが、これほどおぞましい組織が2010年まで存続してしまった事実に「人間の本質は愚か・悪なのではないのか?」と落ち込んでしまいます。
それくらい落ち込むまでにこの作品の圧や表現力が素晴らしいとも言えるのですが、児童への虐待描写が苦手な方、トラウマがある方はお気をつけください。

個人的に、様々な事件を調べる趣味があるのですが、この作品の性的暴行が他の事件とも類似(北九州監禁殺人事件で家族同士を対立させてつながりを絶たせる、宗教的な名目を理由に性的虐待を行う、寵愛を理由に大人と子どもを閉鎖的な空間で二人きりにさせるなどの点で)しており、犯罪は「人はどのように教育し、注意すれば犯罪を行わないのか」ではなく「そもそも犯罪がしにくい環境を物理・心理的に社会で作っていく」方法も大切だと感じました。
社会的なつながりを複数持つ、第三者を含めて話し合いをする、トイレは性別ごとに離しておくなど、人間の善性を信じるばかりではなく人間は愚かだからこそ、愚かになりにくいようにする社会が重要なのかもしれないと考えました。

この作品の最後は、主人公が無事に逃げ切れたのか、ルドルフはどうなったのか、そして主人公は逃げ切れたとしてもこれから組織は続いていってしまう…そういった現実の生々しい終わり方をするのですが、本当に心底ぞっとしました。
もう二度と見たくはありませんが、すごい作品で見てよかったと思います。
畳む
RSS