『ペナルティループ』の鑑賞記録です。以下、何も考えていない感想で、作品の内容に触れています。#鑑賞記録 続きを読む・光の使い方とか、ときどきブラックアウトするとか、ループに「あれ?」となったりするとか、BGMが延々とループしそうな淡々としたもので、一見穏やかなのにどこの場面も印象的で最高です!!・主人公の「あの人、オフィスカジュアルでもなくてもっとカジュアルな服装だし、何の仕事をしているんだろ……」と感じる人の仕事(フリーランスっぽくて仕事の内容はアート寄りそうで、サラリーマンではない感じ)をやってる雰囲気が好きです。何なんだろう、あの場面だけで主人公の雰囲気が掴めるの……すごい!優しいんだろうなとか、仕事はアートとか建築系っぽいな、恋人が大切なんだろうなとか分かる情報を説明なしに表現するとか物語の進め方がうますぎる。・ここからループに入るのですが、私は「えっ、合法的な復讐!?やったー!!!ホラー映画みたい!!!過去に行われてきた拷問とか全部やり尽くしたい!!!!ハッピー!!!」(実際は復讐するというより、遺族のメンタルケアの一環ですが)みたいな思考だったので、主人公が意外と優しくて驚きました。四肢切断、致命傷を避けて痛めつける、内臓を取り出して「きれいな内臓!まだ脈打ってますよ!」と本人に見せてあげるとか、とにかくやりてえだろ?!!!と私は思っていたので……やり尽くして飽きたらループから出たいかもしれませんが……・というか、私ならまずどうして殺したのか(たとえ犯人がVRなので本人の脳から情報を取得して再現したAIだったりしても)聞きたいな……理解したい……と思いました。殺人事件とか戦争で起きた虐殺の本とか読んで調べて、なぜ人は人を殺すのか、殺してしまえるのか、それが私はずっと気になっているので、聞きたいなという欲求がみんなにあるものでは?と考えていましたが、どうやら主人公は違うな……?と気がつくのが作品後半くらいからでした。気がつくのが遅すぎるな……・主人公が犯罪を倫理とか、法、心理とかではなく、自分の認識できる物語(=犯人を人と認めて対話して、犯人でも「私とあなた」という関係の物語にして理解、共感できるタイプ)にして認識したいんだな〜と気がついてから私も理解できました。私は「どうして」「なぜ?」という疑問を犯罪心理とか、類似した事件から理解をしたい(なぜ願望系なのかというと、人間の心理は理解できないし、他人の考えを理解できることは今の技術では絶対にできないからです。)と考えているからです。なので主人公の葛藤とか犯人との関係を見て、「共感するんだ。私ならそうやって苦しくなるのが分かってるからしないな……それより内臓ぶち撒けて殺すために腹に爆弾を入れてみよー!!!(学術的な方面から冷静に理解したいという気持ちと、それはそれとして復讐したい感情的な気持ちは両立するので、対話した方が理性のある人間らしいとは分かっていても、私は自分が満足できる方を選びます。)」と考えていました。・主人公、復讐よりグリーフケアの方がよかったのでは……それだったらペナルティループで恋人が実は知らないところで生きる望みが希薄だったり、恋人について自分が何も知らなかった、恋人を気遣って何も知ろうとしなかったことへの後悔もなかったはずだろう……と考えてしまいました。ペナルティループを選ばなかったとしても、いつか気がついてしまうかもしれませんが。復讐で恋人や犯人と向き合う方向、悲しさを受け入れる方向、どちらも人に寄っては向き不向き、いいところ、悪いところがあるかもしれませんが、自分にあった悲しみの向き合い方ができるように主人公を支えてくれる誰かや何かがいたらよかったのだろうか……と考えてしまいました。・ペナルティループの中でゲームマスター(システム管理人)みたいな人の映し方とか、視線が主人公に向かっている雰囲気が「あれ? ループにみんな気がついてないはずなのに、おかしいな……」となる表現がすごかったです!あとボーリング場のセリフは今まで韓国映画を少し見ていたおかげで「あっ!ハングルの罵倒語だ!!!」となってよかったです。(よくない)(なんでハングルなのかなと思いましたが、主人公なようなプレイヤー側にシステム側のキャラクターが罵倒をするのが分からないようにとか、システム側=人間ではないのでいろいろな言葉を駆使できるのが普通だよ、みたいな表現かな〜とぼんやり考えています)・ループに気がついて、主人公と犯人が仲良くなるところはコミカルなのに、主人公の意思に関係なく殺さないとならないシステムのため死なないといけない恐怖がつきまとって不穏な感じが好きです。シュールなギャグがすごく好きなのでめちゃくちゃ笑いました!重いテーマなのにこういうガス抜きというか、感情のコントロールがうまくてすごすぎる作品です……すごい……・最後に犯人を殺すところで「これ……性交渉の隠喩では……?」となってしまったので、こんな不徳な見方をしてしまうとは腹を切るしかあるまい……と武士になりました。・過去に主人公と恋人が知り合ったときの、不穏な雰囲気と、それを察してもできるだけ助けたいみたいな主人公の優しさに、すごい絶妙な人間関係の描き方というか、少しでも間違えたら「距離感怖……」「性犯罪とか狙ってる……?」みたいになりそうな懸念がなくて、安心して見られるバランスがすごかったです。(男女二人きりという状況自体が、お互い初対面だと危なくないですか……?みたいに現実だと考えてしまうのですが、そういった懸念を主人公たちの人柄を丁寧に描くことで安心して見られる場面にしているのが真摯でとても好きです。)・現実に戻るまでの主人公と恋人のひとときが、主人公は恋人のことを全然知らなかったとか、実は恋人は主人公をそれほど必要としていなかったのではないか(主人公が恋人に向ける感情と、恋人が主人公に向ける感情の大きさは相当違うとか、ベクトルが違いそうだな……と感じました)と考えてしまい、主人公は辛そうだな……と思いました。私は「同じだけの感情をそれぞれ持つのは不可能だからな」ともう諦めているので、辛いけどそういうものだよな……と思って見ていましたが、主人公は恋人を素直に好きで相手も自分が好きだと無邪気に信じられそうな育ちの良さそうな気質だなと思ったので、最後の事故の場面で「大丈夫じゃないから逆に大丈夫って言って無理やり元気そうにしている人だ……」とはらはらしました。主人公はどこかで割り切ってしまうか、何か支えみたいなものを見つけられるといいですね……美味しいご飯を食べて暖かい布団でよく眠ってくれ……としか思えなかったです。悲しすぎる……・主人公の家に無印良品の商品があり「あっ……っぽい!!!こういうおしゃれな人がおしゃれに使ってそう!!!」と思いました。畳む 鑑賞記録 2024/04/04(Thu) 19:27:54
以下、何も考えていない感想で、作品の内容に触れています。
#鑑賞記録
・光の使い方とか、ときどきブラックアウトするとか、ループに「あれ?」となったりするとか、BGMが延々とループしそうな淡々としたもので、一見穏やかなのにどこの場面も印象的で最高です!!
・主人公の「あの人、オフィスカジュアルでもなくてもっとカジュアルな服装だし、何の仕事をしているんだろ……」と感じる人の仕事(フリーランスっぽくて仕事の内容はアート寄りそうで、サラリーマンではない感じ)をやってる雰囲気が好きです。
何なんだろう、あの場面だけで主人公の雰囲気が掴めるの……すごい!
優しいんだろうなとか、仕事はアートとか建築系っぽいな、恋人が大切なんだろうなとか分かる情報を説明なしに表現するとか物語の進め方がうますぎる。
・ここからループに入るのですが、私は「えっ、合法的な復讐!?やったー!!!ホラー映画みたい!!!過去に行われてきた拷問とか全部やり尽くしたい!!!!ハッピー!!!」(実際は復讐するというより、遺族のメンタルケアの一環ですが)みたいな思考だったので、主人公が意外と優しくて驚きました。
四肢切断、致命傷を避けて痛めつける、内臓を取り出して「きれいな内臓!まだ脈打ってますよ!」と本人に見せてあげるとか、とにかくやりてえだろ?!!!と私は思っていたので……やり尽くして飽きたらループから出たいかもしれませんが……
・というか、私ならまずどうして殺したのか(たとえ犯人がVRなので本人の脳から情報を取得して再現したAIだったりしても)聞きたいな……理解したい……と思いました。
殺人事件とか戦争で起きた虐殺の本とか読んで調べて、なぜ人は人を殺すのか、殺してしまえるのか、それが私はずっと気になっているので、聞きたいなという欲求がみんなにあるものでは?と考えていましたが、どうやら主人公は違うな……?と気がつくのが作品後半くらいからでした。
気がつくのが遅すぎるな……
・主人公が犯罪を倫理とか、法、心理とかではなく、自分の認識できる物語(=犯人を人と認めて対話して、犯人でも「私とあなた」という関係の物語にして理解、共感できるタイプ)にして認識したいんだな〜と気がついてから私も理解できました。
私は「どうして」「なぜ?」という疑問を犯罪心理とか、類似した事件から理解をしたい(なぜ願望系なのかというと、人間の心理は理解できないし、他人の考えを理解できることは今の技術では絶対にできないからです。)と考えているからです。
なので主人公の葛藤とか犯人との関係を見て、「共感するんだ。私ならそうやって苦しくなるのが分かってるからしないな……それより内臓ぶち撒けて殺すために腹に爆弾を入れてみよー!!!(学術的な方面から冷静に理解したいという気持ちと、それはそれとして復讐したい感情的な気持ちは両立するので、対話した方が理性のある人間らしいとは分かっていても、私は自分が満足できる方を選びます。)」と考えていました。
・主人公、復讐よりグリーフケアの方がよかったのでは……
それだったらペナルティループで恋人が実は知らないところで生きる望みが希薄だったり、恋人について自分が何も知らなかった、恋人を気遣って何も知ろうとしなかったことへの後悔もなかったはずだろう……と考えてしまいました。ペナルティループを選ばなかったとしても、いつか気がついてしまうかもしれませんが。
復讐で恋人や犯人と向き合う方向、悲しさを受け入れる方向、どちらも人に寄っては向き不向き、いいところ、悪いところがあるかもしれませんが、自分にあった悲しみの向き合い方ができるように主人公を支えてくれる誰かや何かがいたらよかったのだろうか……と考えてしまいました。
・ペナルティループの中でゲームマスター(システム管理人)みたいな人の映し方とか、視線が主人公に向かっている雰囲気が「あれ? ループにみんな気がついてないはずなのに、おかしいな……」となる表現がすごかったです!
あとボーリング場のセリフは今まで韓国映画を少し見ていたおかげで「あっ!ハングルの罵倒語だ!!!」となってよかったです。(よくない)
(なんでハングルなのかなと思いましたが、主人公なようなプレイヤー側にシステム側のキャラクターが罵倒をするのが分からないようにとか、システム側=人間ではないのでいろいろな言葉を駆使できるのが普通だよ、みたいな表現かな〜とぼんやり考えています)
・ループに気がついて、主人公と犯人が仲良くなるところはコミカルなのに、主人公の意思に関係なく殺さないとならないシステムのため死なないといけない恐怖がつきまとって不穏な感じが好きです。
シュールなギャグがすごく好きなのでめちゃくちゃ笑いました!重いテーマなのにこういうガス抜きというか、感情のコントロールがうまくてすごすぎる作品です……すごい……
・最後に犯人を殺すところで「これ……性交渉の隠喩では……?」となってしまったので、こんな不徳な見方をしてしまうとは腹を切るしかあるまい……と武士になりました。
・過去に主人公と恋人が知り合ったときの、不穏な雰囲気と、それを察してもできるだけ助けたいみたいな主人公の優しさに、すごい絶妙な人間関係の描き方というか、少しでも間違えたら「距離感怖……」「性犯罪とか狙ってる……?」みたいになりそうな懸念がなくて、安心して見られるバランスがすごかったです。
(男女二人きりという状況自体が、お互い初対面だと危なくないですか……?みたいに現実だと考えてしまうのですが、そういった懸念を主人公たちの人柄を丁寧に描くことで安心して見られる場面にしているのが真摯でとても好きです。)
・現実に戻るまでの主人公と恋人のひとときが、主人公は恋人のことを全然知らなかったとか、実は恋人は主人公をそれほど必要としていなかったのではないか(主人公が恋人に向ける感情と、恋人が主人公に向ける感情の大きさは相当違うとか、ベクトルが違いそうだな……と感じました)と考えてしまい、主人公は辛そうだな……と思いました。
私は「同じだけの感情をそれぞれ持つのは不可能だからな」ともう諦めているので、辛いけどそういうものだよな……と思って見ていましたが、主人公は恋人を素直に好きで相手も自分が好きだと無邪気に信じられそうな育ちの良さそうな気質だなと思ったので、最後の事故の場面で「大丈夫じゃないから逆に大丈夫って言って無理やり元気そうにしている人だ……」とはらはらしました。
主人公はどこかで割り切ってしまうか、何か支えみたいなものを見つけられるといいですね……美味しいご飯を食べて暖かい布団でよく眠ってくれ……としか思えなかったです。悲しすぎる……
・主人公の家に無印良品の商品があり「あっ……っぽい!!!こういうおしゃれな人がおしゃれに使ってそう!!!」と思いました。
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