4コマの分け方の一つに「どこからでも読める作品」と「頭から読む作品」という別け方があります。
前者は一般4コマ誌に、後者は萌え4コマ誌に多いですね。
雑誌って、途中から読む人もいれば、たまに読む人、欠かさず読んでいる人などバラバラ。
そういった意味で、「いつ読み始めても面白い!」というのは大きな力。
一方で、「Felice」や「インプロ!」の様に、「成長」が大きなテーマとなっているならば話がやんわりと繋がっている方が効果的。
また、「せいなるめぐみ」のフィギュア作成のように、「積み重ねるタイプのネタ」も変則での繋がり。
ようは、作品の性格によって、どちらがいいかどうかが変わるということ。
ただ、特に意味もなくむやみやたらに過去の話を持ち出して、
「読者がそれを知っていることが当たり前」としたネタに頼るのは・・・やっぱり避けた方がいいかも(個人の意見です)。
あと、「初期設定が分からないと読みづらい」っていうのも厳しいです。
「奥様はアイドル」や「リコーダーとランドセル」などでは必ず1本目は設定の紹介になっています。
設定や関係性を知らないと分かりにくい・・・って作品は、こういう工夫も必要かもです。
個人的にそれで苦労したのが「氷室の天地」。
設定が分からず、ずっと「原作のゲームを知らないからや」と思い込んでいました。
が、1巻から読んで「あ、こんな出来事があったんや!」と点と点が大きな点になりました(何!?)。
今ではすっかりお気に入り作品の1つ。「頭から読む作品」の筆頭だと思っています。
読み切り。それは単行本に纏められる事がほとんど無い作品。
そして、作家さんや雑誌においては連載作品を決める重要な存在。
読み切りから連載かされた作品は、ちゃんとその分も単行本に収録されるんですが、
連載が決まった時に別の作品に変わったり、設定が大きく変わると収録されないことも。
4コマでは「完全に単発の読み切り」よりも、「連載させるかどうかを占う」という色が強い気がします。
それでも、読み切りとしてはやはりその1話単独で成立する必要があります。
そう考えると、読みきりって凄いなぁ・・・
ゼロからキャラクターや設定・世界観を紹介して、物語を描き、完結させる。
それを限られたページで行う。
なおかつ「もっと読みたい!」と思わせなければならない。
後の展開に含みを持たせつつも、その話としてはそれで閉じても成立している。
ううむ、難しい。
作家さんの技量を図るという意味では、連載とはまた異なる「話を纏める技術」が必要になるんですね。
連載だと、「キャラクターや設定が定着してからそれを生かす技術」がまた必要になりますね。
4コマで最も使われる年代は高校生。特に萌え4コマの大半がこれ。
大人と子供の中間で、ある程度の知識はあるけれど、まだまだ知らないこともたくさん。
友達がいて、両親がいて、学校があって、行事もたくさん。
クラブや委員会や流行や恋愛や・・・
何より、学生特有の「ノリ」が気兼ねなく使えるし、読者の共感も得やすい年代。
使いやすいんでしょうね。
その次となると、同様に読者層の多いビジネスマンをターゲットとしたいわゆる「大人」の皆様。
職場を舞台とした作品が一般4コマ誌を中心に多くあります。
で、小学生がその次、さらに減って中学生。
意外と少ないのが大学生で、しかも大学をメインに描く作品はホント少ないです。
ガッツり大学となると「CIRCLEさーくる」や「数学女子」、「薬学女子」くらいでしょうか。
高校生以上に自由があり、サークルやバイト、ちょっと変わった講義や教授たち。
イベントこそ少ないですが、まだまだ学生のノリですし、学祭や飲み会もあります。
試験や論文や就活という独特なイベントも。
ん〜・・・「半分大人」というので扱いづらいのでしょうか?
・・・それ以上に、先生方が大学を経験していないからでしょうか?
「漫画家になる!」って決めていて大学に行く人も多くないでしょうし。
上記3作品も、先生方の大学生時代が作品に生きている作品(「薬学女子」はエッセイ作品ですし)です。
大卒の漫画家さんも増えてきている様子、これから大学を舞台にした作品も増えてくるのかな?
4コマって、表現に制約が多いです。
「コマの形が決まっている」それだけで自由度がぐっと下がります。
そのひとつとして、コマの形や大きさでのメリハリを付けることが出来ません。
これに関しては、枠の外へ逃げる、ページを飛び越えようとするなどの手法で逆に利用する作品もあります。
ただ、それが使えるのはメタ的な表現の許されるコメディテイストの強い作品に限定。
また、いわゆる「ぶち抜き」という技法もあります。
2コマを繋げて迫力を出すもの。
着飾った女性キャラの全身を描くために使ったりもしますね。
藤島じゅん先生の「天使の末裔」では、名乗りを上げる時には必ずぶち抜き、という特徴がありました。
また、単行本になっていないですが真田一輝先生の「the Airs」では毎回ラスト直前の見開き2ページに渡る大ゴマが特徴でした。
とはいえ、それらが「特殊」であり、原則として枠固定。
その中でどれだけ上手く表現を行うかが腕の見せ所。
それだけに、制約が多い中で鍛えた人には「コマの中での表現力」という武器が育っているんじゃないかと思います。
「四季おりおりっ!」・「トリコロ」・「棺担ぎのクロ。」これらの作品の表現力はホントに圧巻です。
4コマって、表現に制約が多いです。
そのひとつとして、「ひとつのネタを引っ張りにくい」があります。
普通のギャグ漫画などでは、ひとつのネタを引っ張ってズドンとオトすということが普通です。
でも、4コマでは「4コマ目でオトす」が基本。
引っ張るにしても、4コマ毎にオチを付ける必要があります。
つまり、オトして、オトして、それを繰り返して最後にズドン!
テンポが速くて終盤にかけて盛り上がる良作漫才のようなものです。
一方で、一般の漫画はどちらかというと自由に引っ張れて、途中で好きなタイミングで小ボケを挟む事が出来ます。
なんなら、引っ張るだけで、小ボケを挟まない場合もあります。その方がいい時だってあります。
コントに近いタイプですね。
つまり、「4コマ漫画なので4コマ目は面白く」という制約があるわけです。
最近はそれにこだわらず、「オチのない4コマ」も増えてはいますが、例え評価が高くても・・・ネットが荒れるなんてことも。
やっぱり「4コマ」漫画ですもんね。
出て来るだけで、たった一言だけで、その場の空気を持っていってしまう。
アンタッチャブル・山崎兄さんやマギー司郎師匠のような方がたまにいらっしゃいます。
4コマで言えば、ページを開いた瞬間にその世界へ誘われる感覚ですね。
これが出来る作品って、ホント強いです。
大抵、そういう作品は長期連載で、読む側としてもその世界を知っていて、期待値がある状態なのでより入り込みやすいです。
一方で、読みきりや新連載ではそれが無い状態。読者を作品に引き込むところからスタートしなければいけないのですが、これが難しいわけで。
単行本でいえば1話目の前の導入部分(無い作品もありますが)。
まあ、2巻以降は継続して読んでいる方がほとんどなので、遊んでも問題ないと思います。
が、1巻の導入部分は「初めてその作品に触れる人がいる」って場合も多いわけで。
みんながみんな雑誌を読んでるわけでもないですしね。
よくあるのが、作品の紹介やキャラクターの自己紹介。
「GA」や「スターマイン」が分かりやすいですね。メタ的なノリがOKなテンション高めの作品でよく使われます。
一方で、日常を切り出して、主要人物の関係性や立ち位置を分かりやすく示すパターン。
「四季おりおりっ!」なんかがこのパターンですね。
他にも第1話の前日談。キャラクター紹介などの作品の導入を兼ねていることも多いです。
「落花流水」がこのパターン。
んで、きらら作品などに多いのが、「作品のことを知っていることを前提としたお遊び企画」。
正直、初見殺しな時も多いです。
ん〜・・・巻末に入れるなら分かるんですが、冒頭で誰が誰でどういう関係性か、
そもそもそれぞれの名前すら分からない状態でパロディネタをやられた日にゃ、頭の上にクエスチョンマーク。
・・・や、あたしゃレビュアーであって、評論家ではないんですけどね。
作品によっては綿密に設定がされているものと、逆に曖昧なものがあります。
前者では「四季おりおりっ!」や「らき☆すた」が分かりやすいです。
「四季おりおりっ!」では舞台や劇中作品、人物設定などなど・・・枚挙に暇がありません。
「らき☆すた」も、その設定だけで2冊の設定集が出るほど。特にキャラクターに関しては他の追随を許さないレベル。
一方で、設定がゆるいものとしては「ゆかひめ」があります。
性格や身長、誕生日や個性や年齢まで。それらがいつの間にやら変わっています。
「ゆるめいつ」もゆるさでは負けていません。むしろ、ゆるさが全ての作品です。
正味、どちらがいいとも言えません。というのもそれを含めての「作風」なわけで。
がっつり詳細まで設定がある「ゆるめいつ」も、「どこがゆるいねん!」となってしまいますしね。
あたしが以前悪ノリで載せた残念な4コマのような何かは前者のタイプでした。
笑い自体が不安定な性質なので、しっかりとした土台が必要、という考え方です。
ただし、舞台やキャラクターの基本設定はしっかりと固めるものの、「人間性」や「人間関係」はゆるくしています。
その方が柔軟にボケられるというのと、現実世界でも「人と交わることで変わる」のが人間の面白いところですので。
人と知り合えば人一人分世界が広がるわけで。
そうやって自分の視野や世界観を広げたり深めたり出来る。
人間40歳にして不惑、なんて言いますが、あたしは死ぬまで惑っていきたいです!
・・・さて、最初は何の話をしていましたっけ?